わかってはいるけど・・・時には必要

鉄道史や鉄道文化史という分野を生業としていると、その関係で鉄道関連の郵趣品が必要になることがあります。
例えば講演の時に、スライドの絵として鉄道切手や風景印を使うことが一番ポピュラーな使い道。
一般的には古写真や図面を使うのですが、そうした中に郵趣品を混ぜると意外性のある演出となって、見ている方も飽きないという効果があります。

トピカル的な切手というのは、ご存知のとおり「買わせるための切手」「いかがわしい切手」が多くあります。
こうした切手は、相手の商売に乗せられる気がするので買う気はほとんど無いのですが、中には代替品が無いことから、渋々と買うことになる場合があります。

例えば、下の切手。
セントビンセント・グレナディンやツバルで1980年代中頃に「世界の有名機関車」として数百種が発行されたものですが、当初は「フン!なんじゃこれ」と思ったものの、一枚一枚をよく見ると、他の郵趣品では見られない車輌の数々。
しかも、それが重要な車輌であったりしますから、困りもの。

画像の切手の題材は、6200形という日本の明治時代後半を代表する蒸気機関車で、1897年から輸入が始まった Neilson(ニールソン、又はネルソン)の蒸気機関車。
当初は京浜間で使用されたものの、性能が素晴らしく良かったため Neilson の他に Dubs(ダブス、又はドゥブス)社製も加え57両もの大量発注を行い、新橋〜神戸間の直通列車に使用されたり、日露戦争では軍用列車に優先的に使われるようになります。

こうした画期的な機関車であったにも関わらず、日本では切手に採用されることはありませんでした。
それが、ツバル発行の「好ましくない切手」に採用されているものですから、ある意味では仕方なく購入です。

この切手、図案をよく見ると輸入当初の原形ではなく、改造後の後期の姿であることがわかります。
ちなみに当初の形を Neilson 社のカタログから拾ったのが下の画像ですから、見比べて下さい。

わかりましたか?
煙突の後ろにあるポコッと飛び出た大きなコブが写真では1つですが、切手では2つあります。
ここが、最も目立つ違いですね。

このコブ。
当初から付いている煙突側のものは蒸気溜と呼ばれるもので、改造で付けられたキャブ(運転室)側のコブは砂箱(車輪の空転防止のための砂を収納する箱)です。
砂箱は当初は第1動輪の上に付いていましたが、改造によりボイラー上に移設されており、切手ではその移設後の姿を描いています。
そこがちょっと残念なところで、初期の形を図案化してくれていたならば、もっと良かったでしょうに。
まぁ、これでも貴重な図案には間違いはないので、そこはガマンということですね。

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