モーリシャス・伝説のオークションから

1968年10月21日の20時(ニューヨーク時間)から開催された H. R. Harmer 社による “The Louise Boyd Dale and Alfred F. Lichtenstein” セールは、以後11回続く同セールの1回目。
このオークションが、今でも伝説のオークションとして伝えられているのは、皆さんもご存知のことと思います。

本セール11回のうち3回がモーリシャスであり、その初回の、しかも最初のロットに超大物を配置するなどの凝った話題作りは、世界のトップ・オークショナーであればこその、セール成功への緻密な演出であったと言えるでしょう。
ただ、当時の状況を考えると、本カタログが日本に入ってきたのは極く少数であり、そのことから、今でも多くの収集家が「話しには聞いたことはあるが、カタログは見たことがない」というところだと思います。

そのロット1番というのが、ポスト・オフィス切手1ペニー2枚貼りの美しいカバー。
当時、世界最高のカバーと称せられていたものです。

下の画像が、そのカタログ。
見開き2ページに、別ページのカラー図版まで使われています。
今では、贅沢にページを使ったカタログは珍しくありませんが、印刷コストが高かった当時としては全く無かったわけではありませんが、この編集は別格的な贅沢な使い方でした。

このオークションには、日本から金井宏之氏と橘喬一氏が参加されており、それぞれがこの場の体験を書き残されています。
このカバー、数人がビッドしたものの最後はビッグネームな2人、レイモンド・ウェル氏とギボンズのマイケル社長の競りになり、ウェル氏が38万ドル(当時の日本円で1億3600万円)で落札しています。

このオークションは、終了と同時に全米のテレビ局が結果を報じ、翌朝にはニューヨークタイムズが大きな記事を掲載しています。

日本では『カナイ・スタンプ・レーダー』1969年1月号で、会場の模様を多数の写真で紹介し、ニューヨークタイムズの記事も含めて、詳細にレポートしています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *