フィンランド・二つのライオンタイプ

スウェーデンの支配を受けていたかと思いきや、ナポレオン戦争の結果、今度はロシアに割譲されたり、この2大国間の歴史に翻弄されてきたフィンランドが、1917年12月6日にロシアからの独立を宣言。
それに先立って郵政権をとり戻したフィンランドが最初に行ったのが、切手図案からのロシア色の一掃であり、発行されたのがライオン・シリーズ。
特にフィンランド切手を集めていなくても、きっと、どこかで見たことがある切手だと思います。

最初に発行されたのが、サーリネンと呼ばれる左のタイプ。
1917年10月1日から12月にかけて基本8額面が出揃っていますが、最終的には28種ほどのシリーズに成長しています。

このように、せっかくロシアから独立したフィンランドですが、すぐにロシアのレーニン政権はフィンランドでも社会革命を起こす政策をとります。
そして労働者階級の赤衛団と、資産家階級を中心とした白衛団との間で内乱が始まり、1918年1月28日に赤衛団がヘルシンキを占領。

白衛団は、西海岸のバーサに拠点を移しましたが、切手の在庫が底をついてしまいました。
だからといって、赤衛団が支配するヘルシンキから切手を取り寄せるわけにもいかないので、バーサ市内の民間印刷会社で切手印刷することに。
それが画像右のもので、バーサタイプと呼んでいます。
バーサタイプは、3月5日から5月8日までの間に6額面が発行されていますが、紙質はもちろんのこと、印刷も悪く、いかにも緊急発行的な雰囲気を持った興味深い切手。

せっかく発行されたバーサタイプですが、白衛団がヘルシンキを奪還したことにより、5月31日限りで窓口販売が中止され、再びサーリネンタイプが供給されるようになりました。

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