画像は、スウェーデンが1910年から発行を開始した「グスタフ5世円形フレーム」シリーズ。
ここで、わざわざ「円形フレーム」としているのは、1920年から別図案のグスタフ5世シリーズが発行されているからで、世間一般に行われている呼称です。
画像のリーフはライトハウスの図入リーフなのですが、実はカタログでメインナンバーとして扱われている2種の貼る場所が用意されていません。
もちろん、その2種は僕は未入手なのでリーフを一見したところでは完揃いに見えますが、実はそうではないのです。
貼る場所が用意されていないのは、55オーレと80オーレ。
スコットカタログでは、それぞれの使用済が斜字体の6500ドル。
実は未使用の方が安くて、斜字体の2100ドルです。
ミッヘルでは、それぞれ使用済が5500ユーロ、未使用が1800ユーロとなっています。
で、なんでこうなのかと言うと、それは発行された背景にあります。
第一次世界大戦による物価上昇のあおりを受けて郵便料金が値上げされ、代金引換小包用料金として55オーレと80オーレの切手が必要になり製造されたのですが、再度料金改正が行われ、せっかく印刷したものの必要がない切手になってしまいました。
この必要が無くなった2種の切手は、郵便局に配給しないことになっていたのですが、1918年7月2日に誤って10シート(1000枚)づつが、Värnamo という小さな町(現在でも人口は2万人ほど)の郵便局へ送られてしまい、翌日から発売されました。
その情報を得たストックホルムの切手商がすぐに買い占めに動き、郵便局の在庫を確保。数通のカバー(フィラテリックカバー)を作った他は未使用で持ち帰っています。
本来は不発行切手で終わる運命だった2種の切手は、こうした経緯からカタログではメインナンバーを与えられることになってしまったわけですね。
おかげで、恐らくほぼ永久的に僕のコレクションに入ることはないと思います。