戦前のドイツ切手と言えば、ゲルマニア・シリーズが定番。
様々な郵趣雑誌で記事として取り上げられた回数は、断トツのトップで間違いではありませんし、これは製造面、使用面ともにバラエティが豊富で、各人の考え方しだいで小コレクションから大コレクションまで作れるので納得できます。
それと比べるとかなり地味な存在で、記事として取り上げられることがあまり無いのがヒンデンブルクを図案としたシリーズでしょう。
ですが、画像のメダル形シリーズは、連刷やらタブ付き切手で変化をつけられますし、なかなか楽しく集めることが可能だと思います。

今日のタイトルには「透し」となっていますが、これはこのシリーズの「キホン」の「キ」。
リーフ画像の左は最初に発行されたグループで、透しはそれ以前から使われていた「網形」が使われており、下の画像の左がそれ。
対して、右のリーフは新しい発行グループで、透しが下の画像右の「鉤十字」になっています。

「網透し」最初の切手は1932年10月1日の発行ですが、その前の3月にヒンデンブルクはかなり勢力を伸ばしてきたヒトラーに大差をつけて大統領に再選されています。
この大統領選挙以後、ドイツの内政は目まぐるしく変化し、その結果1933年1月30日にヒンデンブルクがヒトラーを首相に指名するに至ります。
ヒトラー首相の誕生以後、ドイツはナチスのやりたい放題になって行くわけですが、その初期の段階である1933年12月4日に、「ヒンデンブルクは大統領と言っても、所詮、鉤十字(ナチス)のお飾りだ」と言わんばかりに、「鉤十字」透しの用紙に変更され、それが右のリーフの切手になります。
ところで、我々はナチスが強烈過ぎて「鉤十字=ナチス」と考えてしまいがちですが、「鉤十字」自体は東洋、西洋問わずに古代から使われていたもの。
ですが、ナチスが党のシンボルマークやドイツ国旗に採用したがために、印象が悪くなってしまったのは不運と言えましょう。