『関東大震災100年』

表紙と裏表紙

昨年のJapexで、オープンクラスからグランプリが出た衝撃を記憶されている方も多いと思います。
本書は、その作品の全リーフを収録したもので、オールカラーで1ページ1リーフという、自宅にいながらにしてゆっくりと観賞できる有り難い体裁。

僕は本作品を震災切手展とJapexの2回観賞しているのですが、その度に「印刷物にならないかな〜」と内心で思っていたので、その願いが実現しました。
これで、いつでも好きな時に、好きなだけ見ることができます。

内容については、なにしろ震災郵趣の第一人者が作られた作品なので、非郵趣マテリアル、郵趣マテリアルともに唸るようなものが鏤められているのですが、そのような当たり前のことを書いてもブログがつまらないだけ。

で、僕はたぶん皆さんとは異なった見方もしていることを、ちょっとだけご紹介。
オープンクラスの良いところは、全く郵趣に詳しくない人でも見ていて楽しく、そしてわかりやすいところだと思います。
これは、非郵趣マテリアルを作品に取り入れることによって、その作品の適切な流れを作ることが可能だからです。

例えば、最近多い「切手好き」のお姉さんやおばさま達。
いわゆる「切手女子」と呼ばれているカテゴリーの人達ですね。
このカテゴリーの多くの人は伝統郵趣や郵便史といった、ゴリゴリの郵趣分野を見ても内容が難しく、ほぼ理解できないどころか「こんなの見てもわからない」に始まり、「切手って集めるのは難しい」なんて思われるところがオチでしょう。

こうした単なる「切手好き」の人達に、見てもらいたいのが本作品であり、本書なのです。
そこには伝統郵趣にありがちな、色調だとか変種などという重箱の隅を突っ突いたような話しや、郵便史の古びれた封筒を並べて能書きを書きまくった、説明を読むのにさえ四苦八苦するようなこともありません。

本書に示されているのは、切手、封筒、絵画資料、絵葉書、手紙などを駆使して、水が流れるがごときスムースに展開された、関東大震災という歴史的災害を解説した大河ドラマ的な作品。
日本語を読むことさえできれば、郵趣が単なる切手集めだけではない奥深さがあることに気付くと思います。

本書を教科書に、先ずは1フレーム、いや半フレーム(8リーフ)からでよいので、多彩なマテリアルを使って自分の興味があることを展開するような、切手初歩者向けの取組みがあっても良いと思います。

本書の入手については、『郵趣』8月号の「BOOK S」欄にて紹介していますので、それをご覧のうえお申し込みください。

『関東大震災100年』」への6件のフィードバック

  1. 最近、即売会等でも所謂「切手女子」なる新人類的な人達が増えているようで誠に喜ばしい事です。「綺麗」「可愛い」何の忖度も無く純粋に欲しい切手を購入する姿こそ趣味の原点ではないでしょうか?すっかり忘れていましたね。
    いつの頃からでしょうか。切手収集がやたら難しい趣味になってしまったような気がします。カタログコレクションで充分に満足していたのにA先生の専門コレクション的な記事に啓発され使用済消印分類、適正単貼使用、色調分類、極めつけは毛紙の分量とか、小判切手の用紙分類はともかく田沢切手の毛紙分量分類なんて私自身そうですが多くの方は収集対象外でしょう。とにかく見た目が全く同じ物を細かく分類しても全く面白く有りません。趣味の多様化も有りますが、切手の専門収集は切手趣味衰退の一因になっているような気がします。JPSも視点を変えてもっと別角度から攻めてほしいものです。

    1. 初老の趣味人 さん
      いつも、ありがとうございました。
      私も、若い頃(20代前半頃まで)は、あのような記事に影響を受けていたことがありました。
      それは、自分で「切手収集とは?」という根本的なことを考えていなかったからですね。
      だから人真似をして安心みたいな・・・。
      大切なのは、自分が思うコレクションの形のイメージを作りながら、それに向かって進むべきではないかと。

  2. 綺麗な切手だ、可愛い切手だ、わ〜いと言ってたのではグリコの切手ブームと同じです
    そして誰もいなくなった
    専門コレクションや知識の蓄積があるので郵趣が趣味の王道でもあるはずです
    切手女子と持ち上げてますが、議員選挙で女子が立候補して中には当選しますが使いものにならない人も多いです

    1. ご覧くださいまして、ありがとうございます。
      切手女子の中には、切手収集(郵趣)自体を知らない人が多いのです。
      そもそも「リーフってなに?」って状態ですから。
      私が属する切手の集りに、昨年2名の切手女子が入ってくれました。
      彼女らの切手集めのきっかけはポスクロだったのですが、相手から貰った各国の切手を袋に入れて保管し、ポスクロのオフ会で見せあう程度の人。
      「袋に入れていたら痛むし、そもそも、なんの切手かわからないでしょ?」
      から始まったのですが、今では立派にリーフに整理するまでになっています。
      要は、切手を集めたけど、その先を知らなかっただけの話しなのです。
      100人の切手女子のうち、1人でもそうして切手整理を始めてくれれば、それでよいのではないかと思いますよ。
      僕は、そう思いながら活動を続けていますが。

    2. 女子差別的な偏見的な前時代的な見方ですね。平成〜令和時代になりましても、まだこんな方がいるとは驚きます。グリコは切手ブームのきっかけを作っただけで、その後の投資的な思惑が崩壊して切手離れが加速して琉球切手でとどめを刺してしまいました。その後の凋落振りは御存知の通りです。また、未だに郵趣、それも万人受けしない小難しい専門収集が趣味の王道なんて考えている方がいる事にも驚きます。ジャパンオークションの会員を2千人と見ましても1億人の内の僅か2千人、1県40人強程度しかいないのですから王道どころか獣道にしか過ぎません。更に収集家人口は加速度的に減少しております。近い将来絶滅危惧種になる可能性大でしょう。

      1. ちょっと驚く初老の趣味人さまの返信です。当方女性です。初老よりは若いと思っています。結局、初老の趣味人さまのような見方しかできないので世の中(それが大袈裟なら郵趣の世界)がおかしくなったのではないでしょうか。今なお、60歳台、70歳台、80歳台、(90歳台?)でフロアーに通えている男性の方々も大事に考えるべきだと申し上げております。別に若くてきれいでかわいい切手女子(この言葉も不適切だと感じますが)だけを特に取り上げる必要はないと感じます。それこそ女性蔑視ではないでしょうか。

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