西アフリカの内陸国マリ。
面積は日本の約3.3倍もありますが、鉄道は隣国セネガルのダカールと、マリの首都バマコを通りクリコロを結ぶ、延長約1300kmのダカール・ニジェール鉄道の1路線しかありません。
鉄道名にニジェールが付いていますが、国名のニジェール共和国とは無関係で、ニジェール川のことを指しています。
と、ここまで書けば、たとえ1路線と言えども立派な鉄道がアフリカの大地を走っていると思うかも知れませんが、この鉄道、2018年5月17日以降、1本の列車も走っていないのです。
職員の給料は、もちろん財政的に払えないので払われていないのですが、面白いことに雇用は継続されていて、皆さん出勤しているそうなのですが、仕事としてすることがないので、お喋りやゲームをして日々を過ごしているそうです。
日本だったら一大パニック状態でしょうけど、アフリカは違います。
哲学的に考えさせられるところが大いにあります。
下のリーフは、1970年と1972年の2回に分けて発行された「マリ鉄道の機関車」という切手。
初期の小形蒸気機関車から、大形蒸気機関車を経て、近代化を進めたディーゼル機関車までの歴史を描いています。
自国の鉄道を紹介した、好ましい切手です。
マリは、1880年から1960年6月の独立までフランスの植民地であったことから、独立後の切手もフランスの影響が色濃く残されています。
下の切手は、上のリーフからの1枚で凹版3色刷りですが、原版を彫る彫刻刀の動きがフランス系そのものであることが、よくわかります。
拡大してみると、改めて良い切手ですね。