ポーランド・1919-20年

ポーランドを地図、特に地形図で見るとほぼ平原地帯(そもそも国名自体が「平らな土地」という意味)であることがわかりますが、この侵入しやすい地形が災いし、近世〜近代前半にかけては周辺諸国から侵略を受け続けた歴史があります。

画像のリーフは、第1次世界大戦後の第二共和国時代になって、ようやく発行することができた正刷切手の中から目打有りのグループで、この他に無目打のグループもあります。
このシリーズは、紙質や目打にバラエティがあるので、突っ込んで集めると面白い対象なのですが、画像のリーフはメインナンバーでさえ欠けている、カタログコレクションにも満たないもの。

実は、この切手は面白いところがあって、額面通貨単位のグループが2種類あります。
上のリーフは、北部用通貨のもので額面単位が「F」と「M」。
「F」は「フェニグフ」、「M」は「マルカ」で旧ドイツ領用。
もう一つは、南部用通貨のもので「H」と「K」。
「H」は「ハレジィ」、「K」は「コロナ」で、こちらは旧オーストリア領用です。
下の画像で示したように、同じ額面でも通貨単位が違うのです。

このように、同じシリーズでありながらも2種類の通貨単位グループを発行しなければならなかった理由が、最初に述べた周辺諸国からの侵略なのです。

1918年にポーランド第二共和国が誕生した時、ポーランドではドイツ・マルク、ロシア・ルーブル、オーストリア・コロナ、ポーランド・マルクの4種類もの通貨が流通しているという、現代の我々からすると信じ難い状況がありました。
これがポーランド・マルクに統一されたのが1920年のことで、その過渡期に発行されたのがリーフの切手。
これだけでも、ポーランド近代史の一端を知ることができます。

ポーランド・1919-20年」への3件のフィードバック

  1. このシリーズは本当に面白いシリーズで、最後の方は北部用と南部用を1:1でごちゃ混ぜに貼った、なんて使用例もあります。郵便史的にも製造面の両方から楽しめます。

    リンク貼らせていただきますね。

    1. しげやま さん
      ご無沙汰しております。
      そう言えば、20年かもっと前かな?
      全日展で、重山さんのポーランドのプレスタンプの作品を拝見しましたね。

  2. この「北部用・南部用」切手を出品したのが2007年の全日展で、プレスタンプ時代はそれより前で2002年の様です。
    まあ、私の中でもの〜んびりした時代でした。

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