『ビジュアル日専 田沢切手編』

先日届いた『ビジュアル日専 田沢切手編』。
梱包を解いて表紙を眺めて「あれっ」と・・・。
広告は見ていなかったので、初めて気がつきました。
そうです「田沢切手編」なんです。
でも、ちょっとなんだか変。
日本切手には疎いので、僕だけが知らないのかも知れませんが、田沢から新高額までを含めて、いつから「田沢切手」と呼ぶようになったのでしょう??
しかも「芦ノ湖航空」や「制定シート」まで含んでいます。
田沢切手と言うのは、田沢昌言氏によるデザインのものを限定して呼んでいたので、それ以外も含めて田沢切手とは、なんとも乱暴すぎる話ではないかと思います。
例えば「田沢切手時代編」とかなら、端的にその時代を表しているので良いとは思いますが、「田沢切手編」では「田沢切手専門カタログ」じゃないですか。
いつから、田沢切手の定義が変わったのでしょう???

このカタログで、圧巻は震災切手ですね。
震災切手って、今までは前後の切手に挟まれて、なんとも肩身の狭い切手のように見えたのが、今回は39ページものボリューム。
英文併記なので、単純に半分と考えても日本語部分で20ページにもなります。
僕が初めて買った『新日本切手カタログ』1976年版では僅かに4ページ。
『日専』2011ー12年版では、ページ数こそ28ページに増えていますが、判型や空白の多いレイアウトを考えると、今回の方が情報量は圧倒的に多いでしょう。
そして、その根底にあるのは震災郵趣研究会の長年の活動による成果であることは、どなたもご存知だと思います。
以前だったら手彫切手研究会による成果が『手彫切手専門カタログ』に反映されていましたし、個人ではない、研究会という公の場で議論されたことの成果が、こうして反映されることは信頼性という点で素晴らしいと思います。

例えば、大阪印刷と東京印刷の違いを解説した項目があるのですが、これまでの『日専』と比べると似て非なるものと言えましょう。
的確な図版により、これまでよりはるかにわかりやすい解説となっています。
また、東京印刷のグリッド構成について詳細な解説が掲載され、これまで極めて断片的な知識しか持ち合わせなかった自分にとって、初めて全体の大枠を知ることが出来ました。

10年前に、震災切手をテーマにこのようなカタログが作られるなど、誰が想像したでしょうか?
このシリーズのカタログで4冊目の本書ですが、僕にとっては唯一全く想定外(もちろん良い意味で)のものでした。
残念ながら冒頭のタイトルで大幅減点ではあるものの、震災切手の項目に大きく助けられた本書は「買い」です。

『ビジュアル日専 田沢切手編』」への3件のフィードバック

  1. そうですね、この時代をひとくくりにするなら、田沢~昭和白紙編とすべきでしょうね。
    表紙の図版とタイトルに違和感が。
    震災切手は田沢では断じてありません。
    最近の協会発行の本はどこかずれていることが多いと思います。
    最近届いたオークション誌のコラムでも、
    連合王国の切手に関して最近出た本について、いくら本国でそう呼ばれてるからといって、そのままその呼び方を使うのは日本人にはピンと来ない、それこそ迷珍、みたいな記事がありました。連合王国と書かれてイギリスをすぐ想像するのは難しいです。
     りんごのことを現地の発音に近いから、といわれてアポーと書かれても、ほとんどの日本人は理解不能なのと同じです。

    1. ボタ・ヤマエさん
      書名というのは大切です。
      このタイトルでは初心者や外国人は、採録されている切手全てが田沢切手の枠の中に収まると勘違いします。
      「作った人間だけがわかる」という、ユーザー無視な本は作るべきではありませんね。
      僕は若い頃に、論文のタイトルについては厳しく指導されましたが、今ではその意味するところがよくわかります。
      郵趣出版発行の本は、内容にひどい間違いが多いものがあります。
      以前に某編集長にそのことを話したら、その答えが「でも売れるから」でした。
      つまり、内容は間違っていても、売れればよいと・・・。
      その時に「あっ、もうダメだな。ここは」と。。
      その編集長は、今は居ませんが。

  2. こんばんは、白井郵趣会の編集担当です。
    本日「白郵」125号のpdfをお送りしましたが、以前のアドレスにお送りすると、配信不能で戻されてしまいます。前回の124号から、この状況が続いています。現在有効なアドレスをお知らせ頂けますか?

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