琉球切手・オオゴチョウ偽造初日印

琉球切手の初日カバーの中に、いまだに偽造品が市場に流通していろことをご存知だろうか?
どうも市場の様子を見ていると、皆さんよく分かってらっしゃらない気がして「なんだかなぁ・・・」みたいな気になります。

琉球切手初日カバーの中で、大規模な偽造行為が行われたのは、1971年5月10日発行の花シリーズ「オオゴチョウ」と同年5月20日発行の民具シリーズ「シリウーシ」の2点で、ともに日本郵趣協会の関連会社である郵趣サービス社が行ったもの。
今日のお題はその中から「オオゴチョウ」。

一般社会に、この事件が明るみになったのは1971年9月10日付け『読売新聞』誌上で、おそらく郵趣家の大多数がこの報道によって知ったのだと思います。
郵趣関係メディアとしては、『読売』に遅れること1週間近く後の『京都寸葉』ではないでしょうか。

なぜ郵趣サービス社がそのような行為におよんだのかと言うのは、琉球切手の新発行にあわせて送らなければならない初日カバー用の空封筒の送付が遅く、琉球郵政に届いたのが発行日後のことだったことによります。
「オオゴチョウ」のばあいだと、初日カバーを仕切る郵務課に届いたのが発行翌日の5月11日。
そして、実際の押印作業にあたる現場には更に遅れて到着(14日)のため、そのまま「押印不可能」として全量を戻し扱いに。

そのような経緯で空封筒が送り返されてきた郵趣サービス社では、長い歴史を持つ初日カバー頒布会の穴をあけるわけにもいかず、担当課長だった五十嵐光雄の責任で偽造行為に走ったというわけです。

下のカバーは郵趣サービス社のNCC版で、もちろん偽造品。

それで、下のこちらは真正品の初日カバーです。
さて、皆さんは見分けがつきますでしょうか?

よーく見てください。
意外と簡単だと思いますが・・・。

念のため消印部分の拡大を入れておきますが、もう偽造印の特徴がわかりますね。

特徴は、
1、切手貼付部の消印のかかりかたで、偽造品は慣れていない人が押したので、印影が薄く均一になっていません。
2、活字の書体が微妙に異なります。特にわかりやすいのは「1」のセリフと「7」の縦線。
3、局名と外円の位置が異なり、偽造印は「NAHA」の上部と外円が離れていますが、本物は接しています。
4、印色が偽造品の方が黒が強い。
5、真正印よりも、偽造印の方が直径が1ミリほど大きい。

実勢価格でワンコインに満たないものですが、いくら安価であっても偽造品であることを知っているのと、知らないのとでは大違い。
ホント僕が不思議でならないのは、切手商でさえ全く無頓着な感じでいることだし、それにも増してJPSカタログでも全く無視されていること。
偽造品を作ったのは郵趣サービス社であるのだから、カタログの該当部分には注意喚起を促す注記を載せるべきでしょう。
なにしろ、作られた偽造品3000通。郵趣家が作った少数の偽造品とは、全く規模が違います。
そのうちどれだけが回収されたのでしょうか?
回収数未発表のため、当時、市場に残された数は不明のままですね。

臭いものには蓋的な対応しかしてこなかった結果が、今でも市場で見る流通の実態なのでしょう。
即売会で、あるいはヤフオクで、皆さん入手される時には十分お気をつけください。

琉球切手・オオゴチョウ偽造初日印」への4件のフィードバック

  1. このあと、郵趣サービス社の当社とは関係の無いような白々しい内容のお詫び文が載っていたような朧気な記憶がありますが、どうだったでしょうかね~

    1. 初老の趣味人 様
      ご覧いただき、ありがとうございます。
      『郵趣』1971年11月号57ページ右下に小さな囲み記事で、「当社販売のカバーに不良消印が混入していたことがわかりました。(中略)外部に依頼して作成したものの一部から発見されたものです。たとえわずかな数であろうと、疑わしいものがまじりました以上、当社としましては、全品とも回収(後略)」というもので「私たちも被害者的」な、事実とは全く異なる文面。
      こうした姿勢が、今でも偽造品を流通させる結果になってしまったのでしょう。

  2. 五十嵐光男氏って登戸で店を構えてた人?もともと協会の人だったんですか。

    1. らふぉぷ さま
      ご覧いただきまして、ありがとうございました。
      おっしゃるとおり、登戸にあったイガラシスタンプは五十嵐光雄の店です。
      五十嵐は一人で全ての泥を被り、退社後にJPSの大きな支援を受けて店を開店させています。

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