『図説 川の上の近代』

今日のご紹介は、郵趣文献ではありません。
郵趣家は、郵趣文献だけを読んでいればよいのではなく、非郵趣文献にも参考書は山ほどあります。
そんな1冊がこれ。

関東では、霞ヶ浦、利根川、東京湾。
関西に行けば、琵琶湖や淀川。
そして中国・四国地方では瀬戸内海。
郵便逓送に船が活躍したところは、いたる所にあります。
以前に住んでいた福井県には、昭和47年になっても水路郵便線路が残されていたほどです。

昨日ご紹介した『千葉県の丸一型日付印の集め方』に出ていた、利根川航路と通運丸。
本書は、その通運丸を主軸に明治時代関東の河川航路について紹介したもの。

本書は、平成19年に江東区中川船番所資料館、物流博物館、吉岡まちかど博物館の3館共同企画で行った企画展の展示図録。
サブタイトルに「通運丸と関東の川蒸気船交通史」とあるとおり、直接的に郵便に関する展示ではないのですが、図録に掲載された資料や史料、データを見ながら解説を読めば、河川において郵便逓送が行われた背景がよく理解できます。

たまたま、今回ご紹介したのが千葉を中心としたものですが、あちこちの博物館で郷土史の視点から近世・近代の交通や運輸に関する資料集や図録が刊行されています。
こうしたものは、巷に溢れる商業出版と比べると恐ろしく安価に質の高いものが発売されているので、郵便史を志す収集家には極めて重宝する存在です。

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