南方占領地の正刷切手の中で、昔から好きな切手がビルマの農耕切手。
なぜなら、やれ「独立だ」「国家建設だ」「英雄だ」と言うような感じの正刷切手が多い中で、素朴で牧歌的な感じがする農耕切手を見ていると、占領地切手でありながら、なぜかホッとします。
この切手の原図作者は、郵政要員として南方に赴くまで愛知県岡崎局や熱田局に勤務されていた加藤忠氏。
氏は切手を作成することになった時に、ラングーン中央局内を参考になりそうな資料がないものかと探し回ったところ、三十数枚のスケッチが出てきたので、その中からの1枚を参考に描いたのが、農耕切手の原図になったと後に話されています。
下の切手は、戦争に突入する前の1938年にビルマで発行された通常切手シリーズからの1枚ですが、そこに描かれているのは加藤氏が描いた農耕切手とそっくりな図案です。
加藤氏が参考とした局内に残されていた三十数枚のスケッチの中には、この切手を発行する際のものが含まれていたのでしょう。
この2枚の切手を並べたリーフを1枚作ると面白いかも。