妙におかしな切手ですね。
リベリアが1999年8月25日に発行した鉄道切手からの1枚なのですが、描かれているのは山手線です。(しっかり運転席の上に「山手線」の文字が)
地方に住んでいる方で方でも、上京されたことのある人なら、一度は乗った経験があると思います。
東京には、絶対に欠かせない路線です。
そんな山手線ですが、切手の中では北海道を思わせる大自然の中を走行中。
しかも単線。
まぁ、架線が張ってあるだけマシというか、上出来かも知れません。
いったい、誰が作ったんだ??この切手。
皆さんは、山手線をグルリと1周乗っても、トンネルが無いのをご存知でしょうか?
実際のところ、山手線の内側を歩くとよくわかるのですが、かなり起伏に富んだ地形をしています。山有り、谷有りの世界です。
ですが、現在はトンネルはありません。
ここで「現在は」と書いたのは、過去には二ヶ所にトンネルがあったからで、それらは今では撤去、または線形の変更により無くなってしまっているのです。
その無くなってしまったトンネルの一つが下の画像。
正確に言えば、トンネルというよりトンネルの「痕跡」とでも言いましょうか。
写真のほぼ中央に、傾斜地のコンクリート製法面の中に、煉瓦と石積みの四角い物がボコッと飛び出していますね。
これが、埋もれたトンネルの一部分なのです。
つまり、トンネル本体は法面の中。
場所は、駒込駅と田端駅との中間よりやや田端駅寄り。
駒込駅を発車して田端方面へ向かうと、田端へ侵入する手前に大きな右カーブがあるのですが、そこの進行方向右側の法面に見ることができます。
実は、今の走行線は1928年(昭和3)に付け替えられた新線で、それまでは現在は埋められてしまった旧線を走っていたのです。
下の写真は昭和22年に撮影された航空写真で、旧状をよく知ることができます。
中央の赤丸が上で紹介した写真部分で、この写真でもよく見えています。
つまり、現在はトンネル坑門の右上の先端部が、法面から顔を出しているわけですね。
このトンネルの名前は「道灌山トンネル」で、旧日本鉄道(山手線を敷設した当時の会社)の資料によると、全長は39フィート6インチ(約12メートル)だったそうです。
この写真を見ると、旧線が現線の内側を走っていたのがよくわかると思います。
レールレベルで見ると旧線と現線の比高差は、旧線の方が6メートル低く、この差を利用して戦災の廃土処理を行い、その時にトンネルも埋められてしまったそうです。
山手線を利用して目白の切手の博物館へ行かれる方は、窓の外をちょっと注意して見ていると見れますので、ぜひご覧になってください。
1903年完成なので、117年前のトンネルです。