『さくら』から『普専』へ

昨年、12月23日に紹介した表題の文献が5日ほど前に配本となりました。

内容はタイトル通り、1種1枚で『さくら』カタログを手本に収集しているコレクターが、もう一歩進めて『普専』カタログを使いながら、専門コレクションへと進むための解説書。
読みやすい文章なので、158ページを一気に読むことができます。
採録範囲は、手彫切手をすっ飛ばして小判切手から動植物国宝図案切手まで。
手彫切手の省略は本書の趣旨を考えると仕方が無いとは思いますが、「手彫切手も、こんな風に工夫すると発展性がありますよ」的な紹介があっても良かったかと思います。

本文の組み方も、文章とビジュアル的に楽しめる図版が効果的に組まれて、なかなか良い出来上がり。
強いて言えば、用紙が若干厚いところが気になります。もう少し薄い方が読む時に、手に馴染んでいい感じになるのではないかと。

あと、評価ができる点としては、所々にリーフ写真があるところ。
この手の解説書によく有り勝ちなマテリアル写真のみではなく、リーフレイアウトの出来はさておいて、取りあえずリーフに整理した完成写真が挿入されていることは、想定している読者層を考えると非常に親切なものと言えます。

しかも、本書を手本とした切手展出品者が現れることを想定して「本書に掲載のリーフは、自らのコレクションを整理するために制作したものです。切手展の競争部門では、消印だけのリーフ展示はマイナスの評価になる場合もあります。」という断り書きを入れる念の入れよう。

本書を一読して感じたのは、企画も良いし、内容も面白い。
しかし、本書が想定している読者層にどれだけ読まれ、そして実際の収集に反映されるかは別の話。
地方在住のマテリアルの入手が容易ではない収集家向けに、そうしたノウハウを章立ての中に入れてもらえていれば、想定読者層に親切な文献になっていたことと思います。
地方在住のカタログコレクターにとって、本書で紹介されているマテリアルについて「入手できて当然」ではないのです。

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