戦前に名古屋で『漫歩』という趣味誌が発行されていました。
有名な雑誌なので、郵趣史に興味がある方ならご存知だと思います。
『漫歩』は総合趣味誌だったので、絵葉書だとか駅のスタンプ、マッチラベルなど掲載範囲は広かったのですが、風景印や郵便局、そして一般的な内外切手の記事が主力ではありました。
そんな肩の凝らない趣味誌なのですが、郵趣史上極めて重要な記事が掲載されています。
それが下の画像の連載記事で、郵便印の研究者として著名な江口彪一郎氏による「在日本外国郵便局」『漫歩』23、25、28、29、30号 昭和8〜9年。
内容は、
連載一 総論
連載二 イギリス
連載三 イギリス
連載四 フランス
連載五 フランスとアメリカ
となっていますが、江口の優れていた点は、単に日本国内にあった在日局だけではなく、在清国局をはじめとする東アジアの中で考えようとしたことであると言えます。
もちろん、現在の研究レベルとは雲泥の差が見られますが、それを理由として本解説を評価しない人がいたとしたならば、それは世間知らずと評されても仕方がないことでしょう。
本連載は、在日外国局に対するまとまった研究としては最初のものであり、当時の郵趣的環境を考えれば極めて重要な先行研究であると言え、当該テーマを守備範囲とするからには現在でも必読と言えます。