著者の正田幸弘氏より、『世界の大収集家 【第1部】フェラリとその時代の郵趣』をご恵贈いただきました。
ありがとうございました。
正田氏と言えば、多くの方がブラジルの切手や郵便史の収集家としてご存知のことと思いますが、その一方で日本を代表する郵趣文献収集家としての顔もお持ちで、2004年に『文献に魅せられて』、2011年に『文献散歩道』を上梓されています。
その正田氏が、膨大な郵趣文献の中から情報を引き出し、郵趣史の一側面として光を当てたのが歴代の大収集家です。
その大収集家がどのように時代を生き、どのように郵趣活動を行い、その結果として郵趣界にどのような足跡を残されたのかをまとめられたのが本書。
本書の内容は、もともとは『たんぶるぽすと』誌に連載されたものですが、同誌の発行部数を考えると決して多くの郵趣家の目に留まるものではないことから、このように一書にまとめられ刊行されたことは、極めて有意義なことと思います。
本書で取り扱ったのは、副題でも明らかなように19世紀後半から20世紀初頭までの収集家であり、以下の目次を見ればわかるように、その数21人を数えます。
この21人の時代は、今日の郵趣活動に切っても切り離せない存在であるカタログやアルバム、そして郵趣団体が作られた時期であり、この時代に現代の郵趣活動の基盤が整えられたとも言え、そうした時代の郵趣家を知ることは、必然的に郵趣史の基礎を学ぶことに繋がります。
本文中には貴重な図版が多く転載されており、当該期の雰囲気を、これだけビジュアルに伝える文献というのは、日本語で読めるものとしては初めてのものであり、そうした意味からも貴重な資料と成り得る一書とも言えます。
本書は文献なので、読み物としての本文は当たり前ですが、一つのアイディアとして感心したのが巻末にまとめられた年表。
年表には、左から「年代」「事象」「ページ数等」という順序で項目が並ぶのですが、年表を「フムフム」と見ながら「ページ数等」に記されたページや図版番号を見ると、関係した挿図や表、ページに飛ぶことができるのです。
僅か4ページの年表ですが、この年表があることにより、本書が単なる大収集家物語に終わるものではなく、その根底に郵趣史があることが理解できます。
近年、日本語で刊行された郵趣文献の中で、これだけインパクトが有り、重要と判断されるものはなかったと思います。
そうした意味で、本書は全ての郵趣家に、郵趣の基礎を学べる書の一冊として読んでいただきたいと思います。
本書の入手は以下のとおり。
1冊送料とも2000円
郵便振替口座:00240ー4ー6061 加入者名:正田幸弘
叉は
〒233ー0011 横浜市港南区東永谷2ー14ー44ー309 正田幸弘