2001年、クールボアジェ社の廃業が “Linn’s” 誌に掲載された時(当時、まだこの情報は日本には伝わっていなかった)は、ビックリというか、読み間違えかと思ったほどの衝撃。
なにしろ、僕の中、いやいや切手収集家の一般的な知識として、クールボアジェ社と言えば世界最高のグラビア切手印刷会社だと思っていましたから、それが「廃業ってなに??」って感じ。
小学生の時に読んだ『正しい切手の集め方』では「切手の印刷会社の中では、スイスのクールボアジェという会社が、グラビアでは特に有名です。(中略)世界各国から注文を受けて、多くの美しいグラビア切手を作っています。」
とか『切手集め大作戦』では「スイスの切手はきれいだと評判は聞いたことはあるでしょう。クールボワジエという会社の印刷したグラビアの多色刷り切手がすばらしいできばえだからです。」
こんな感じで「クールボアジェは素晴らしい」と擦り込まれていたのです。
それが予期せぬ「廃業」ですから、どれだけビックリしたかというのも、おわかりいただけるかと・・・。
そのクールボアジェ社がグラビア印刷切手として、初めて手がけたのが1931年発行の「若人の日」。
下の切手は、その中からの1枚です。
初めてのことだからでしょうか、ぎこちない感じがする仕上がりですが、これ以降スイス切手の中に年々グラビア印刷が増加して行きます。
さて、下の画像は上の切手の一部を拡大したもの。
けっこう画線が切れてガタガタですが、最初はこの程度で十分だったわけです。
たしかに肉眼で見る限り、気になりませんからね。
大いなる技術革新としては、成功した切手という評価だったのではないでしょうか。
この切手以後、常に製品としての品質向上を行いながら、先に紹介した名声を得ることになるのです。
しかし、その一方でグラビア印刷とは異なった新しい印刷技術の波に乗り遅れてしまい、70年後の廃業へと繋がって行きます。