『横浜居留地のフランス社会』

澤先生の著書。
先生には、横浜関係(先生は、十数年にわたり横浜の旧外国人居留地に住まわれていたことがある)の単行本の著作が数冊ありますが、本書はその一つ。

本書は、書名のとおり横浜での在日フランス人の社会システムについて論じたもので、郵趣とは無関係なように見えますが、郵便も社会システムの一部なので「横浜にあった外国郵便局」として45ページを割いて述べています。

この中で澤先生は、各国の在横浜郵便局との比較の中でフランス局について述べられているのですが、その中でイギリス局について興味深い知見を多く記されています。
ご存知のとおり在日外国局、中でもフランス横浜局については、吉田、澤、石川、篠原、松本の諸氏に代表されるように多くの解説が存在しますが、他局については断片的な紹介にとどまっているのが現状です。
このような状況の中で、本書では17ページにわたりイギリス局の概要が記されており、本書以外に同局の通史として記されているものは無いと思われ、極めて有益です。
僕は二十数年前に本書を初めて読んだ時に「イギリス局って、ここまでわかるんだ」とビックリした記憶があります。
なにしろ、謎多き(フランス局と比較して)イギリス局だと思っていましたから・・・。

もし、今後、本書を読まれる方がいらしたら、郵便局だけつまみ食いをしないで、全体を通読してください。
外国人居留地に生きる人々(当たり前ですが、横浜に住む外国人です)の社会が、どのように動いていたのかを克明に知ることができます。

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