第2次昭和切手の2銭木造船は、なんとも不思議な切手。
昭和19年4月1日の料金改正で、葉書は2銭から3銭へと値上がったので、乃木2銭切手も3銭へと額面が変更され、同年7月15日に発行されています。
その隙間を埋める切手ならば、昭和20年2月の発行では遅すぎでしょう。
そして、何よりもヘンテコなのは木造船が発行された3ヶ月後の5月に、乃木2銭の目打有り・糊無し切手や、無目打・糊無し切手が発行されているのです。
じゃあ、なんでわざわざ新図案で新切手を発行したのでしょうね?
図案的には素晴らしい切手なので、切手としては好きなのですが、なんともシックリしません。
リーフの第2コーナーブロックは、実用版Aと言われているもの。
この切手には、AとBの二つの実用版が確認されています。
こうなると、8枚ブロックなんて扱い難い塊は捨ててしまって、A版とB版のコーナー田型ブロックを並べたくなります。
そんな版別ができるなんて知らない時に入手したブロックなので、リーフへは取りあえずの有効使用とでも言いましょうか。
右の使用例は、昭和20年4月1日の料金改正で5銭となった葉書料金に対応するために3銭葉書へ加貼したもの。
木造船では最も一般的な使われ方だと思いますが、これが意外に少ないと思います。
専門家ではないので感覚的な話しですが、たぶん乃木2銭を貼った方がはるかに多いと思いますが、どうでしょう?
僕のような門外漢であっても、この切手のリーフ作りの難しさはよくわかります。
空襲で原版消失して製造できなくなり、乃木は焼け残っていたから、3銭の版を流用、改版して無目打切手を出したとか。
終戦まで半年、もうゴタゴタして雑に印刷されたのか、オフセンターどころではない著しい目打ずれ、横透かし、糊上印刷ともうメチャクチャですね。もう検品もおざなりでとにかく不足している切手を発行するだけで後は野となれ山となれという状況でしょうか。
使用例としては3種便あたりが… まあ難しいですよね。
『切手研究』の合本を読んでいたら、関連記事がありました。
牧野正久『二次昭和・木造船2銭切手について』(切手研究421号 2003年11月)
新井氏の本で「戦争による鋼材の不足に伴い木造船の建造が叫ばれ、そのための宣伝切手としての性格が強く、一時的に印刷された。この前後も2銭乃木の製造は続けられた」と説明されていること。
また、はがき料金値上げへの対応として、木造船2銭切手の増刷が困難であった事情から、簡素な乃木2銭切手の生産も継続された背景が解説されています。
ふくだ さん
コメントの承認が遅くなってしまい、申しわけございません。
仕事が一段落したら、当該雑誌を書庫から引っ張り出して読んでみます。
ありがとうございました。