画像は、ルクセンブルグが1921年に発行した「皇太子誕生記念」切手で、郵趣家の間では「世界最初の小型シート」と言われることもあります。
そこで、各国のカタログで調べてみたら、意外と面白いことがわかりました。
『ギボンズ』では、小型シートのことを “Miniature Sheet” と分類してカタログ番号数字の前に “MS” を付けているのですが、『スコット』では “Souvenir Sheet” としており、英語表記でも異なった表現になっています。
ちなみに、廃刊になってしまった『ミンカス』でも “Souvenir Sheet” でした。
この切手の扱いですが、『ギボンズ』では小型シートの扱いはしておらず、通常と同じ切手番号を付け、注記の中で5枚、25枚、100枚構成のシートについて、その違いを詳しく記しています。
『スコット』も似たような採録方法なのですが、100面シートをメインナンバーに、5枚と25枚のものにはサブナンバーを与えています。
『ミンカス』は “Souvenir Sheet” として扱っているので、小型シートという認識。
ドイツの『ミッヘル』では「小型シート」と明記してサブナンバーを与えています。
『イベール』は、採録方法が他のカタログとは異なり、特殊な発行形態のものは後ろの方にまとめて採録しているのですが、上記の切手は小型シートの所に採録されています。
詳細なことで著名な『ツームシュタイン』ヨーロッパ版では、『ギボンズ』と同じように5枚、25枚、100枚構成を一つの切手として扱い、それぞれの切手について詳述していますが、その注記には小型シートという表現は出てきません。
この切手、意外にもカタログごとに扱いが違うことを初めて知りました。
なにしろ「世界初の小型シート」なんて呼ばれることが多いので、てっきり無批判的に世界共通の認識かと思っていたら、「この切手をどう考えるのか?」によって捉え方にズレがあったのは驚きでした。