広重「山下町日比谷外さくら田」

画像は、タンザニアが1997年に発行した「広重200年」小型シートからの一部。
タイトルは上記の見出しのとおりなのですが、正月風景を主題として描いているので持ってきました。

画面手前左に、大きくちょっとだけ描かれているのは門松の一部。
その上、濠の左右にこれまたちょっとだけ顔を見せている絵が描かれた板は羽子板で、上空で小さく鳥のように見えるのは羽根。
また、複数の凧が江戸の空に揚がっています。
ということで、典型的な正月の風景を描いた一枚ですね。

タイトルに見える「日比谷」「外さくら田」は、皆さんにも馴染の深い地名だと思います。
例えば、今なら日比谷公園とか桜田門とかですね。
桜田門と言えば、警視庁。

正面の赤い門と白壁の屋敷は、肥前佐賀藩の上屋敷です。

広重が描いている場所は、下の切絵図中の赤矢印の位置で、山下町という町人街から武家屋敷街方向を見たもの。
ということは、切手の画面中央上部に足だけ見える奴凧は町人の子供が揚げているものになり、奥に見える幾つかの凧は武士の子供が揚げているという解釈になります。

さて、この情景を今の地図で見ると下になります。

桜田門とそこの濠は、今も昔も同じ位置で動いていません。
広重が描いた濠は、画面奥方向は道路に、左右方向はJR東海道本線が走っています。
この濠が埋め立てられた道路ですが、現在の帝国ホテル北側の道路ななります。

また、肥前佐賀藩上屋敷は日比谷公園の一部になっています。

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