切手展に想う

かつて、国内最大の切手展と言えば、春に開催されていた全日本切手展でした。
まぁ、この考えに対して
「いやいや、最大は秋のジャペックスでしょ」
と、おっしゃる方がいるとも思います。

何をもって最大かという物差しが色々とあり、その物差しにより答えも違ってきます。
展示フレーム数、作品数、ブースの数、参観者数・・・。
いろいろですね。

で、僕の物差しはというと、出品者数。
これにも幾つかの解釈があって、逓信総合博物館で展示された数が一つ。
実は、それ以外にもあって、地方予選も含めた出品者数というのもあります。

当時は日本郵趣連合という全国組織があり、その下に地方郵趣連盟、さらにその下に個々の郵趣会がぶら下がる形をとっていました。
以前の全日本切手展のばあい、地方郵政局から地方郵趣連盟に出品に関する協力依頼があり、そこから各郵趣会に出品依頼が降りるというのが、大きなルート。
この他に、郵便局の掲示を見て個人的に出品される方もいらっしゃいましたが、全体から見れば、それはそれほど多くはなかったと記憶しています。

皆さんもご存知のとおり、ジャペックスは日本郵趣協会最大の行事であり、稀に会員外の方の出品も見られますが、大部分は会員の出品。

で、全日本切手展の方はというと、これは地方にいるとよくわかるのですが、郵趣協会の会員外の方もけっこういらっしゃる。
つまり、ある特定の全国組織の団体に属していなくても、収集家であれば誰もが気軽に出品できたのが全日本切手展で、実は、そこにこそ全日本切手展を開催する大きな意味と意義があったのです。
僕が、「かつての全日本切手展が国内最大」と評する所以です。

切手展、ここでは全国規模の競争展を指すわけですが、こうした切手展には、ある程度の経験を積んだ国内展の先にある国際展出品を見据えた作品がある一方で、ある程度まとまってきたので取りあえず初出品みたいな作品もあり、両方が揃って初めて面白い切手展になるのではないでしょうか?

賞で言えば、大金賞あり、金銀賞あり、銀賞あり、銅賞あり、佳作あり、みたいな感じですね。
かつての全日本切手展は、そうした切手展で、会場に入るまで未知の作品に出会えるワクワク感があったものです。

切手展で1つの大きなハードルは、銀賞(大銀賞含む)と金銀賞の間で、そこには大きな壁があります。
つまり、国際展への出品資格を得られるか、得られないかの差で、それが大きな壁となるわけです。
僕も、多くの切手展に出品しましたが、目標はこの壁を越えるか、超えないかで、幸いにも複数のテーマで超えることができました。

他方でこの壁を越えられない作品があるわけですが、実は、このクラスの作品が多く集積されることが切手展の存続に重要なことだと考えます。
これらの作品の多くは、ちょっと展開を変えるか、表現方法を変え、それに若干のマテリアルの追加を行うだけで、ワンランクやツーランクアップが可能である作品が多かったりします。
すなわち、伸び代が期待できる作品とでもいいましょうか。
もっとも、出品後のテクニック的なケアが識者からあればの話しですが・・・。

この辺りのクラスの作品の厚みが増せば増すほど、長期的な視野にたったばあい切手展へのプラスになるのです。
裾野の拡大ですね。
拡大した裾野があれば、その中からステップアップを図ろうとする作品も出てくるわけで、結果として出品作品の好循環が生まれるわけです。

作品を集積する手段として過去のシステムが完全に壊れてしまったいま、新しいシステムの構築、アイディアが必要でしょう。
切手収集家は増えていますが、郵趣家が減っている現在、一部の限られた郵趣家の目にしか止まらない方法では既に限界に達しているはず。

全日本切手展が、全日本切手展であるためには、特に作品の集積において相当な努力が必要ではないかと感じざる得ないのです。

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