縦書丸一印の一使用例

先月、田中寛氏がお亡くなりになりました。
田中寛氏と言えば丸一形日付印。
そして、すぐに頭に浮かぶのは1975年にむさしスタンプから刊行された『たて書丸一印考』と、1986年に郵趣出版から刊行された『丸一印の分類と楽しみ方』であることに、どなたも異論は無いと思います。
後者は、『フィラテリスト』に1981〜85年にかけて連載された「丸一印雑考」に増補、改訂して一書にまとめたもの。
僕は刊行当初『たて書丸一印考』を知らずにいたのですが、翌年(1976年)に『郵趣』掲載のむさしスタンプの広告を見て知り、小遣いでは買えない値段(2300円)だったので、父親に頼んで注文してもらったのを覚えています。

本書を読むまで、安物ということで少量持っていた縦書丸一印のことは、『日本切手百科事典』や『小判切手の集め方』に記されていた簡単な知識以外はゼロというレベル。
まぁ、それでも当時の小学6年生には、それで十分な知識だったと思います。

そこで、今回あらためて読み直すと、最初に引っかかったのが「はじめに」。
この中で、「1974年6月開催のウェバリー・オークションで肥後柳浦郵便局で縦書丸一印で抹消した書留使用例が出品されていた」と書かれています。
そう言えば、どこかの展覧会でも見たような・・・。
とりあえず、カタログを書庫から引っ張り出してきました。
下のロット576がそれで、ノートを見ると到着印の上海欧文印のことしか書かれていません。
なにしろ海の向こうの米国のオークションですからね。縦書丸一印なんて、興味はおろか知識も無かったのでしょう。
参考値は50〜75ドルですから、当時の対米ドルレートの平均値292円でみると14,600〜21,900円ですが、残念ながら落札値は不明です。

縦書丸一印の郵便使用例は他にも紹介例がありますが、恐らく本例が最も豪華なものではないかと思います。
ん〜ん。でも、どこで実物を見たんだろう・・・。

縦書丸一印の一使用例」への2件のフィードバック

  1. ウェバリーのこのセールは東京で開催されました。確かパレスホテルでなかったか?

    1. Tomu さま
      そうです。
      毎回パレスホテルが会場でした。
      日本の代理人がコクサイスタンプの和田さんで、後年、和田さんからオークションカタログをまとめていただきました。
      その中に、1972年の龍500文逆刷りや、問題となったバーマンコレクションもありました。

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