” DAI NIPPON IN SOUTH EAST ASIA “

南方占領地、特に蘭領関係では伝説的な収集家であり、また切手商でもあったブケマによる著書。
まだ、日本国内で今のように南方占領地切手の収集がポピュラーではなかった頃には、一部の専門収集家がブケマ詣をしていたほど。
その収集量は「熊手で集めたよう」と言われていました。

南方占領地切手の収集が、イギリスやオランダなどで先行していたので、こうした解説書が刊行されることは驚かないのですが、ただ、本書の刊行年が1948年であることを考えると、内容よりも先に、そのスピードに驚かされます。
1948年と言えば昭和23年ですから、日本はまだ連合国による占領時期で、ようやく戦後悪化した生活事情が好転してきた頃です。
しかも、使われているのはアート紙。
あの時代に、186ページもの本にアート紙を使えるなんて、やっぱり凄いですね。

内容は、戦争略史から始まり、郵政の変遷、各地発行の切手、加刷のタイプ分類と使用状況などが、鮮明かつ豊富な図版と表によって解説されており、後に続く文献と比べても、非常に理解しやすい構成、誌面になっています。

もちろん、今となっては内容的に古いのは仕方がありませんが、研究史的には極めて重要な文献の一つと言えます。

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