ウッドワードの青一

ウッドワード収集は、1938年のオークションで市場に放出されたので、今でもそのリーフを時々見かけることがありますし、日本でもリーフのままコレクションに保存されている方がいらっしゃいます。

そうした一方で、博物館の収蔵品になって保管されている部分も多くあります。
下の画像は、米国の郵便博物館に収蔵されているウッドワードの青一コレクションのコピーです。

ウッドワードの1927年に刊行された大著は、日本語訳が出版されていたり、また海賊版も含めて過去に何度も復刻されているので、そのうちのどれかを皆さんもお持ちだと思います。
ですが、青一に関しては大著刊行後も調査・研究が進められており、最終的には1935〜36年にかけて『ロンドン・フィラテリスト』に発表されているのですが、こちらはあまり知られていないようです。
こちらの方も以前は入手が難しく、僕も苦労したのですが、近年になり復刻版がDVDで発売されたので、以前とは異なり誰もが簡単に入手できるようになりました。

この最終報告で、ウッドワードは青一が全部で31版としているのですが、その後の市田左右一氏の研究で26版であることが確定しています。
ということは、31-26=5ですから、ウッドワードは5枚の実用版を誤認していることになります。

上の2枚はウッドワードの9版で、9版の解説を記したトップリーフと、それに続くコーナー切手のページです。
実際は、この後に目打、用紙、変種、カバー・消印が3リーフ続いています。

そして、続く上の2枚のリーフはウッドワードの12版で、12版の解説を記したトップリーフと、それに続くコーナー切手のページです。
実際は、この後に目打、用紙、変種のリーフが3リーフ続いています。

このウッドワードが9版と12版とした版ですが、その後の市田氏の調査でこれらは同一の8版であることが確定しています。
すなわち9版が8A版、12版が8B版という異なる特徴を持つ同一の版をウッドワードは、分離してしまっていたのです。

手元にある200リーフほどのウッドワードのアルバムを見ると、コーナー切手について、必ずしも耳紙を頼りにしているわけではないことから、重複しているものが多く見られるようです。
なぜ、こうしたことが起きたのか。
それは、どうもピンホールを過剰に評価してしまったことから、コーナー切手ではないものまでが、コーナー切手とされてしまっているようです。

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