震災切手の原版について

今日は、関東大震災の日。
大正12年ですから、今から97年前のこと。
僕が子供の頃は「震災記念日」という言葉が普通に使われていましたが、最近はほとんど聞かなくなりました。

震災関係の文献というと、
1 広田芳久「震災切手の研究」1〜16 『スタンプレーダー』 1973〜1974年
2 牧野正久「関東大震災後の郵便」『郵便史学』15・16合併号 1980年
3 牧野正久『震災切手と震災郵便』1982年
の3冊が、古いところでは基本文献でしょう。
僕自身は、刊行と同時に入手して読んだのは3のみで、1と2は後に読んでいます。
これらは、多少なりとも震災切手を集めていた時には、何度も読み返し大いに参考となったものです。

上記3冊とは違った形で衝撃的だったのが、
宇田川栄三郎・牧野正久「震災切手の原版について」1〜6 『切手趣味』69巻2号〜70巻2号 1969〜1970年
本稿は、筆頭著者名を見てもわかるとおり、震災切手の製造に直接的な関わった本人への聞き取り調査の結果が記録されています。

宇田川氏は、原版製作の各工程について詳細に語られ、自身が直接ビュランを握って原版に彫刻した時のこと。
プルーフの製作や特徴など。
この記録によって、それまで郵趣家が推定で語っていたことの誤認。
また、気がつかれていなかった視点など、様々な有益な情報が記録されています。

本稿は、震災切手製造の重要な記録として、今後も収集家の記憶に留めるべき解説です。

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