東都葵ヶ丘の滝

画像は、セントビンセントが1999年に発行した「北斎150年」記念シートからの1枚で、「諸国滝廻り」から「東都葵ヶ丘の滝」を図案としたもの。

こうして見ると、どこか田舎の小さな滝のように見えますが、タイトルに「東都」とあるように江戸の滝。
しかも、意外と身近な所にありました。

この図で画面奥側に海のように広がっているのは溜池(地下鉄「溜池山王」駅の「溜池」はこの溜池に由来します)で、滝はこの溜池と川(実際は濠)の落差によって作られているわけです。
画面の一番手前に屋根だけが描かれていますが、これは滝の真正面にあった金刀比羅宮の屋根になります。

では、それがどこかと言うと、まず最初に江戸の切絵図で見てみましょう。
下の図の赤丸の所が滝になります。
図の左側に濃い青色で広がっているのは溜池。
それで、四角い赤枠が金刀比羅宮になります。
つまり、金刀比羅宮の背後から滝を正面に見た図になるわけで、切絵図を見ると情景がよく理解できると思います。

さて、この場所が今のどこかと言えば、地下鉄虎ノ門駅のすぐ近く、文部科学省のすぐ脇にあたります。
下の地図で赤丸が滝のあった場所で、四角の赤枠が現在もある金刀比羅宮ですから、これを基準に見ると位置関係がわかるかと思います。
現在の特許庁は溜池の中ってことになり、虎ノ門三井ビルは濠の中。
どちらの建物も、池や濠の中なので地震には弱そうです。

この滝の全景が古写真で残されているのですが、それを見ると、かなりしょぼくてガッカリします。
でも、北斎が残すくらいですから、江戸ではそれなりの人気スポットだったのでしょう。

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