画像は、ネビスが発行した一群の浮世絵切手からの一枚。
当たり前ですが、カリブ海に浮かぶ島国であるネビスと、広重や浮世絵は1ミリの関係もございません。
単に、僕のような物好きを目当てに発行したものですけど、一応は切手です。
この切手は、広重の『江戸名所百景』の中から「鴻の台とね川風景」を題材としたもの。
画面左手に高台があり、眼下には川。
その川は舟が浮かぶような大きな川で、右手遠くにはトリミングで半分切られてしまっていますが、富士山が見えます。(本来の絵では全体が奇麗に見えています)
タイトルにある「鴻の台」というのが、松が植わった左手の高台で、下総台地の西端に位置します。
となると下に流れている川は、現在で言うところの江戸川。
「でも、タイトルにはとね川って書いてあるじゃん」
と言われそうですが、今の江戸川が利根川だったのです。
利根川の変遷について書き出すと大変なのですが、江戸の街を洪水から守るために、幕府が大工事で常陸川の一部を利用して、利根川の流路を変えて現在の形にしたわけです。
で、この絵が今のどの辺かと言うと、下の地図の赤丸の辺りから、矢印方向に見ているものですね。
京成電鉄本線の国府台駅の北方、千葉商科大学の隣接地。
タイトルにもなっている「鴻の台」は江戸ではなく下総になるのですが、展望の素晴らしいところで、遠くに江戸城や浅草寺、上野の山などを見ることができたそうです。
そう言えば、絵の中にも鴻の台から江戸方面を遠望する人物が数人描かれています。
距離があるからこそ、江戸の風景がパノラマで見えたのでしょうね。
今では、信じられない光景ですが。