『呉ポスト』は芸術品

惜しくも平成30年に廃刊となってしまった『呉ポスト』誌。
呉郵趣会の会報のという形をとっていましたが、読者は地元だけに留まらず全国区で、しかも著名郵趣家がズラリと名を連ねていました。
かく言う私も購読者として、末席を大いに汚したとは思いますが、記事を掲載していただいたこともあります。

今のように、パソコンとプリンターで手軽に見栄えの良い郵趣誌が作れなかった時代に、多くの編集者はガリを切り、謄写版印刷機で印刷をしていました。
『大阪雑信』や『消印とエンタイヤ』『郵話』『喜多方郵趣』などが、超有名どころと言ったところでしょうか。

『呉ポスト』も平成元年頃までは、「ガリ切り」のこの方式で刊行されていました。
今だったら、切手の画像はスキャナで読み込み、それを編集中の誌面にパソコンの中で貼り付けるだけのことですが、謄写版印刷の時代には、もちろん、そんなお手軽なことはできません。
文字を入れるのと同じく、図版も手書き。
子供の頃に学校で配布されたプリントも、先生が手書きしたイラストが入っていましたが、それと同じです。
まぁ、基本は黒インクの単色ですね。

ところが『呉ポスト』は違いますし、ここがスゴイところなんです。
下の画像を見てください。

これは、『呉ポスト』374号(昭和62年2月号)掲載の、昆虫シリーズ第4集の発行を伝える記事に使用された図版ですが、見事なカラー印刷で仕上がっています。
本来はペアで発行なのですが、田型になっているのはご愛嬌というもの。

見事な印刷だと思いませんか!
今回は、たまたま昆虫シリーズを取り上げましたが、『呉ポスト』の手書き図版は、初期の頃(昭和30年代初頭)からずっとカラーなんです。

もちろん有名な郵趣誌ですから、記事も郵趣史に残る極めて有益なものが多いのですが、記事だけに留まらずカラー図版を眺めるだけでも、手書きの素朴さと、ある意味での芸術性が同居していて味わい深いものですね。

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