『帯封』

切手を集め始めた小学2年生の頃は、もちろん「帯封」なんて知識はありません。
それが知識として身に付いたのは、たぶんジュニア向け月刊誌『スタンプマガジン』からだと思います。

我家は郵便物が多い家だったので、帯封の郵便物もそれなりにありました。
よく覚えているのは、神奈川県では最大の書店であった有隣堂が発行する『有隣』という新聞。
それ以外にも幾つかあったと思いますが、そのどれもが切手を貼っていない別納郵便だったので、ひどく落胆したことも覚えています。
密かに、「いつかは切手が貼られた・・・」なんて淡い期待をしていたものですが、そんなことはありませんでした。

まぁ、こんな感じだったので、自分にとって「帯封」は特別な郵便物という思い入れが今でもありますね。

平成元年3月下旬に、帯封ばかりを集めたミニペックスが開催されました。
タイトルは「日本の郵便帯封コレクション展」。
その頃は就職して地方に住んでいたのですが、大枚数万円をはたいて参観に行きましたが、その名品の数々に圧倒され、ますます帯封が遠い存在に。

その数ヶ月後には、下の画像の作品集が3800円で刊行されました。
「帯封展」の全容を、本書で知った方は多かったのではないかと思います。

帯封というのは、伝統郵趣のコレクション作りの中で、一使用例として集められることが多く、帯封そのものを主題とすることは、感心が低くてほとんどありませんでした。

そんな時に、本書では郵便史としての帯封を通史として見せてくれています。
もちろん郵便史としての作品作りの方法は今とは大きく異なっていますし、その技法・展開ともに、当時のレベルのなかであっても理解しているとは言い難いのは事実。

そうしたマイナス面を考えても、これだけの帯封を、しかも四十数ページの解説と共に見ることができるインパクトは、今でも大きいと思います。

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