画像は、牧之原の風来坊が以前に出品していたもので、竜200文第2版ポジション16の未使用。
この切手、もし本物だったら『手彫切手専門カタログ』で、40万円の評価なのですが・・・。
竜切手では難しい切手の一つで、専門収集家が苦労するものですね。
最初にこの切手を見た時の印象は、「印刷のヨレヨレ感がすごすぎ・・・」。
おまけに紙が・・・。
こんな用紙、竜文切手にあったっけ!??
まぁ、どれだけヨレヨレなのかは、下の比較画像をご覧ください。
風来坊製の画像には「風来坊製」とキャプションが付いていますし、色調的には風来坊製はオレンジ色に近く、本物は朱赤です。
元画像は細部が見える大きさなので、ダウンロードするとよりわかりやすいと思いますが、2メガほどの大きさなのでご注意を。
ブログ主としては、ぜひダウンロードして拡大画像で見て欲しいと思います。
比較に用いた画像は、手嶋康氏が復原されたリコンストラクション・シートからの画像で、ポジションは16です。
なぜ、リコンストラクション・シートを使ったのかと言うと、200文第2版にはシートが残されておらず、最大で24枚ブロック、その次が20枚ブロックなのです。
それでは、なぜ手嶋氏がリコンストラクションを完成できたのかと言うと、この版は竜2銭に流用されているからで、竜2銭のシートを見ればリコンストラクションが可能なわけです。
また、それ以外にも過去に市田左右一氏がブロックをキーマテリアルとして、それに他の切手を繋げたリコンストラクションを完成させ、そのシート写真が残されているので、それを使っても同じ結果が得られます。
1枚目の雷文帯と七宝の画像ですが、こちらは全体が変なので矢印は入れてありません。
ポイントは1本づつの線を追ってもらえれば、その違い、例えば方向とか形が違うことがわかると思います。
2枚目は、パッと見てすぐにわかる相違点に矢印を入れました。
これ以外にも1枚目と同じく、個々の線を追っていくと多数の相違点が見つかりますが、一々指摘していると矢印だらけになってしまうので入れてありません。
左右の竜の顔も全体的に全てがおかしいので、同じく入れてありません。
どなたが見ても、すぐにわかるほど異なっていますね。
竜切手のようなアバウトな線で表現されたデザインでも、顔の表現が一番難しいのでしょう。
ご参考までに、下に200文第2版を流用して印刷した2銭切手ポジション16の画像をお見せしましょう。
竜銭切手を印刷する際に実用版を掃除しているため、彫線が綺麗に出ています。
静岡製は、目打部分の紙質から繊維材料が強めと思われます。それは風来坊が「ネリ組成」という言葉をよく使っており、この「ネリ」とは繊維を絡み合わせる時に強い粘りを与えるものです。例えば明治時代の日本銀行券「大黒札」には、こんにゃく粉が使われたり(虫食いが発生した)、今でも和紙を作る上でトロロやノリウツギといった、植物の根から採取した粘液を、紙を漉く際に混ぜております。郵趣用語では見掛けない、この「ネリ組成」という『風来坊用語(造語)』を使ってる以上、きっと紙も自作なのでしょう。
ご覧くださいまして、ありがとうございます。
風来坊の製品の中に、長い繊維を持つ紙があることに興味を持ってこれまでも見てきました。
明らかに、手彫切手では使っていない紙です。
それにしても、贋作とはいえ細かい彫だし、短時間で次の販売(こんなにポンポン手彫が出てくるのも可笑しい)に漕ぎ着けてる点についてですが、恐らく本物の画像データをキャプチャーした後に、3Dプリンタを用いて版を作成しているのではないかと思われます。
ご覧いただきまして、ありがとうございます。
短時間に次々と出てくることがキーワードなのは間違いないですね。
私は、別の方法を仮定しています。
200文の2版は手に入れたいと思っておりましたので、当然この出品物もチェックしておりましたが、出品者が…もっとも画像を見ただけで直ぐ違和感を感じました。印刷関係の知人に古い切手の再現の可能性を聞いてみましたところ図案は再現できても150年前の紙質を正確に再現するのは無理だろうとの事でした。ある程度は似せて作れても大変な製造コストを要する事になるようです。だからこの出品者は安直な品しか作れない訳です。
ところで手嶋コレクションは凄いですね。200文2版のリコンストラクションなんて… 1枚でも簡単に買えないのに40枚も揃えるなんて驚愕です。あと確か500文のリコンストラクションも完成されていたように記憶しております。ところで手嶋コレクションはどうなっているのでしょうかね?鑑定番組に出ていたエンタイアの行方が気になるところです。
初老の趣味人 さん
いつも、ありがとうございます。
手嶋さんの200文2版のリコンストラクションには、ホント驚愕します。
あのようなものを作る、根気とパワーがあるなんて。