画像のリーフは、ネパールが1935年に発行した Sri Pashupati シリーズから4pice の2枚貼り使用例。
一見したところ、右下にインド国内印が押されているので、時々見るインド宛の普通の使用例に見えます。
入手先はチェコのオークションだったのですが、注記には特段目立つテキストは書かれていませんでした。
でも、消印を読むと何か変。
インド宛(その時はそう思っていた)なのに、なぜかカトマンズの到着印があります。
こういう時は、とりあえず入手することが大切なので、一般的な評価にだいぶイロを付けて入札。
無事落札ができて、ブツが送られて来ました。
マテリアルを取り出し、写真版に載っていなかった表面を見ると、なぜか “NEPAL” と住所に国名が書き込まれていました。
「どういうこと?」
ということで、丁寧に一つずつ見ていくと・・・。
抹消印は、薄くてフラフラで全く読めません。
ですが、なんとか2文字だけ読めたので、該当局を探すと Palpa 局であることがわかりましたが、日付は全くダメ。
この消印の状態で局名が特定できただけでも上出来でしょう。
その次に右上の消印。
これは、Bhairahawa 局1997年5月29日ですから、西暦に換算すると1940年9月13日。
左上の消印は Kathmandu 局1997年6月1日なので、西暦1940年9月16日。
そして、右下は Utahwa Bazer/Gorakhpur 局1940年9月13日。
あれれ?
9月13日の消印が、ネパールとインドで2つもある。しかも Kathmandu の消印は、これらより遅い日付。
もしかして、と思い地図でそれらの所在地を調べて、ようやくこのカバーの素性がわかりました。
ネパール国内便であるにもかかわらず、インド郵政を介在させることにより、早く送達できると差出人が考えたのでしょう。
ですから、本来は4pice 料金で良いところを、2枚貼りインド宛料金の8Pice としているのです。
カバーの経路を地図で現すと、こんな感じになります。
青の点線がネパール・インド国境を単純化したもので、一度国境を越えて、再びネパール国内に戻る様子がわかると思います。
当初、全く予想もしなかった展開。
良い使用例を入手しました。