郵趣家であれば、誰もが知っているような著名な郵趣著述家、例えば Melville や Williams 兄弟と並ぶのが、 Stanley Phillips だと思います。
下の画像は、その Phillips が1965年にギボンズ社から出版した “Stamp Collecting” 第8版を、手軽に一般読者向けに小型、ソフトカバー化して1968年に刊行したもので、日本流に言えば、文庫化または新書化とでも言えましょうか。
僕が所持しているのは、第3版で1969年のものですから、短期間に版を重ねるほどの売れ行きだったのでしょう。

その Stanley Phillips は、イギリスの著名な郵趣家であり、父親がギボンズ社の副社長であったことから、自身も1906年にギボンズ社の社員となります。
彼のギボンズでの大きな仕事は二つあります。
一つは、今でも刊行が続いている “Gibbons Stamp Monthly” を1927年に創刊したことで、これはそれ以前から刊行が続いていた “Monthly Journal” や “Stamp Weekly” を発展的に引き継いだものです。
下の画像は、そのの創刊号の表紙。

そして、もう一つの大きな仕事が、現在までに国際切手展の文献部門で数々の賞を受けてきたギボンズカタログ簡略版である “Stamp of The World” を1934年に刊行したことで、親版を補完するもの、あるいは扱いやすい世界切手カタログとして、以後、毎年新版が刊行されています。
そのような仕事をしてきた彼は、最終的にはギボンズ社の会長にまで昇進します。
1953年のことでした。