『大和の記番印』柳原友治

柳原氏の名著『大和の記番印』。
元々『関西郵趣』に連載されていた記事を、再編集してまとめられたものです。

こうして一冊にまとめていただくと、あっちこっちと引っ張り出さなくても済むので、読者としては有り難いですね。

本書は、書名にもあるとおり大和国という狭い範囲に特化した記番印本ですが、それでありながらも名著と呼ばれているには、それ相応の理由があります。
ご存知のように記番印本は、戦前からつい最近まで幾つもの種類のものが発行され、それぞれに特徴があるものの、大要として局番の特定やロケーティング、逓送経路に終始していることが多く、内容的に今一つ深みが足りないのが正直なところ。

ですが、本書はそれだけに留まらず、局の所在地の歴史的、地理的背景にも言及するなど、単なる消印本ではなく、郵便地理史的な解説書としたところが他書とは大きく異なります。

また、最初の二十数ページにまとめられた研究史は、柳原氏の長い収歴が現されており、本書に厚みを持たせています。

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