『たのしい切手入門』

本書は、たぶん子供向けに書かれた最後の入門書ではないかと思います。
昭和57年の発行ですから、1982年ですね。
学研の「入門チャンピオンコース」の一冊としての刊行ですが、これには「ジュニアチャンピオンコース」という先行シリーズがあって、こちらには切手は無かったと思います。
先行の「ジュニアチャンピオンコース」の方は、僕が小学校時代に読みましたから昭和40年代〜50年代初頭の刊行で、まだまだ子供の間では切手収集が盛んでしたが、なぜかその時は発行されず、下火となった「入門チャンピオンコース」の時代になってからの刊行です。

逆に考えると、この時代になると幾種類もあった子供向け入門書がほぼ絶版になっていましたから、それを埋めるものとしては良いタイミングではありました。
果たして売れたかどうかは知りません・・・。

本書の監修は、切手製造の権威であった三島良續氏ですが、実際の執筆は無署名なのでわかりません。
監修者が良かったのか、執筆者が優秀だったのか、それとも両者がともに良かったのはわかりませんが、内容的に優れたものとなっており、この内容の濃さにはどなた様もビックリされると思います。

特に、ゼネラル、国別(例としてアメリカ)、トピカル(例として飛行機)の三つをテーマに、パケットを材料としてそれを整理し、どのようにコレクションとして発展させリーフに表現して行くのかなど、初歩者が漫然とあてのない収集に向うことがないように工夫されています。

また、アルバム整理についても全体の多くを割いて解説し、本書全体を通しての挿図もリーフ写真が多く、そうした意味で他の子供向け入門書とは大きく異なった構成内容になっています。

僕にとっては内容的に、今でも大切にしたい一書です。

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