民間貿易再開

画像は、昭和22年8月15日に発行された「民間貿易再開記念」切手。
この切手から、十六葉八重表菊の紋章が切手から無くなったのは、ちょっと日本切手に詳しい方ならご存知だと思いますが、実は元々の原画には紋章はきちんと描かれていました。
恐らく、特に深い意味はなく、日本切手には明治時代からずっと付き物だったので、当たり前のように入っていたのでしょう。
その紋章に気付いたGHQが削除を指示し、発行された切手のようになったわけです。

その指示を出したのは、GHQの宗教課長をしていたバーンズ氏でした。
このことについては、当時、切手発行製作の直接的な担当者であった中村宗文氏が、失念しましたが何かの本に書かれています。
バーンズ氏は、やたらと日本史や日本に詳しい方で「鳩は八幡神の使いだから、鳩も使ってはならん」と。
多くの日本人にといって、鳩は八幡神の使いというよりも、平和の鳩のイメージであるはず。
その日本人の中の平和と鳩の関係を散々説明して、やっと鳩を切手に使うことだけは理解してもらえたそうです。

この切手から、菊花紋章が無くなることは事前に周知しなかったので、発行後に逓信省には紋章が無いことへの苦情が全国から寄せられ、中には「ご紋章の入れ忘れではないか?」という問い合わせも多数あったそうです。
それだけ、日本人の日本切手に対する認識の中に、菊の紋章は根付いていたのでしょう。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *