ドイツ・「マイン・ドナウ運河」

ドイツを代表する川と言えば、多くはライン川を思い浮かべると思います。
そして、それを裏付けるかのように、旅行会社に行けば「ライン川の古城巡り」をメインとするパンフレットが幾つも目に入ります。

一方で、ヨーロッパを代表する川と言えばドナウ川ですが、その源がドイツであるということをご存知ない方が多くいらっしゃいます。
これは、たぶん「ドナウ川=オーストリア(ウィーン)」というイメージが、強烈なインパクトとして頭の中に残っているからでしょう。
実際は、ハンガリー、ルーマニア、スロバキア、セルビア、ブルガリアなど、その流域は十数カ国を数え、最終的には黒海に注ぎ出ています。

ドイツの主要河川は、北へ向いて北海へと流れ出ますが、ドナウ川だけは東へ流れ、他の川とは反対方向へ向かっています。
そうしたことも、ドイツとドナウ川が結びつかない一因になっているのでしょう。

さて、下の切手ですが、ドイツが1992年に発行した「マイン・ドナウ運河」記念切手で、わかりやすく言うと「マイン川とドナウ川を結ぶ運河の完成記念」。

ドナウ川については先ほど話したので、マイン川についてですが、この川はライン川の支流とだけ覚えておいてください。
そして、ドナウ川、マイン川、マイン・ドナウ運河の関係を地図上に示したのが下の図で、矢印は川の方向を示しています。

先ほど話したように、ドイツ領内のドナウ川は東へと流れオーストリアに入ってしまいます。
となると、ドナウ川は水運という視点からは、ドイツにとっては全くの役立たず。

「マイン・ドナウ運河」が計画されたのは1921年のことでしたが、途中、戦争の影響で中断があり、完成したのが1992年でした。
運河の全長は171km。
運河の完成により、ドイツ領内ドナウ川流域の物資を、ドイツ国内向けに運ぶ事が可能になったほか、黒海ードナウ川ーマイン・ドナウ運河ーマイン川ーライン川ー北海というヨーロッパ縦断水路が完成したことになります。
このため、通称「ヨーロッパ運河」とも呼ばれています。

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