Stanley Gibbons “Stamps Of The World”

どんどん分厚くなり、冊数が増え、そして価格が高騰している世界切手カタログですが、毎年新版が出ているのは、スコットとギボンズの2種類。
そのうち、ギボンズには親版と簡略版があり、親版は数年から国によっては10年近くも新版が出ない時があって、毎年新版が出るのは “Stamps Of The World” と題している簡略版です。
この簡略版は、以前は価格の安さもあったため大量に輸入されていましたが、今では国内で使っている人を見ることが無くなりました。

簡略版では、ある切手で透しや目打のバラエティがあったとしても、種類は1種類としか採録していません。
また、小型シートも未採録です。
例えば、日本切手の産業図案機関車500円には、透し有りと無しの2種類がありますが、これが1種類として採録されているという具合です。
もっとも、カタログ番号は親版を踏襲しているので、未採録の方は簡略版では欠番となっていますから、すぐにわかります。

ですから、簡略版は専門コレクションには全く使い物にはならないカタログですが、僕は近年物の記念切手等を調べるのに極めて重宝しています。

解りやすいように、日本の「電気機関車シリーズ」を例に、簡略版とスコットを比べて見ましょう。
下の画像は、ギボンズ簡略版です。

きちんと「電気機関車シリーズ第1集」と「第2集」を区別して表示しています。
そして、形式名に加えて切手に描かれた車両の車両番号、そして製造初年まで記されている親切さです。
ただし、発行月日は入っていません。

次にスコットカタログを見てみましょう。

「第1集」「第2集」・・・は入っていませんが、そのかわり下方にまとめて発行月日が記されています。
図案の説明は、形式名のみしかありません。

もう一つの事例を、下記にご紹介しましょう。

左がギボンズ簡略版で、図案が「蒸気機関車模型」であると明記してありますが、右のスコットでは単に「蒸気機関車」としか説明していません。

こうした、記述の正確さや緻密さでは、簡略版とは言いながらも詳細な記述の親版の流れを汲む “Stamps Of The World” ならではの細かさと正確さだと思います。
これが、僕が今でも簡略版を使い続けている理由で、長いインターバルの親版の穴埋めを立派に果たしてくれています。

僕が子供の頃は、1冊で完結し価格も4000円程度でしたが、1983年版から2分冊、90年版からは3分冊、そして現在は6分冊にもなり、価格も日本円で6万円ほどになってしまいました。
それでもスコットの半値近くで、記述の正確さを考えると、皆さんにもっと便利に使ってほしいカタログです。

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