手彫切手房半銭

「手彫切手房半銭」なんて書くと、一般的な収集家の反応は「あんた、いったいなに言ってるのさ」だと思いますが、専門収集家だとピンと来ると思います。

様々な日本切手のカタログページを捲って房半銭を探してもらっても、どこにも見いだせないと思います。
それは、そうですよね。
房切手と言えば、1銭と2銭ですから。

ところが、明治40年に刊行された『印刷局沿革録』には房半銭があるのです。
しかも、それだけではなく鳥切手15銭のカナ「ニ」も。
鳥切手は12銭、15銭、45銭ともにカナは「イ」「ロ」「ハ」ですが、『沿革録』にはなぜか「ニ」が・・・。

画像は、房半銭です。
もちろん、手元にあるのは昭和52年の復刻版。

実は、この『沿革録』に房半銭が採録されていたことが判明したのは、戦後になってからのことだそうです。
本書が出されたのが明治40年ですから、その時点においては未発行だった房半銭や鳥15銭「ニ」が、印刷局に残されていたことは確実。
もしかしたら、この他にも未知の手彫切手が残されていたのかも知れません。

その滅失は、関東大震災、太平洋戦争の空襲であった可能性が高いと考えられます。
なんとも、もったいないお話しですね。

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