「グリル」という郵趣用語。
外国切手収集家の間では普通に馴染のある言葉ですが、日本切手収集家にはあまりそれは無いかも知れませんし、もしかしたら「なんのこっちゃ?」と思われる方がいらっしゃるかもです。
「グリル」というのは、切手用紙に人工的に付けられたボツボツのことで、言葉で説明するよりも見ていただく方が手っ取り早いので下の画像がそれ。
針で突っ突いたようなボツボツが見えますよね。
これがグリル。
画像のグリルは、米国1861年シリーズ3セントで「F」グリルと分類されるもの。
このシリーズのグリルは、世界最初のものだと思います。
わざわざ加工を施した理由は、消印を消去し難くするめと言われていますが、米国のばあい1867〜1871年の短期間で使用を終わっています。
グリルで米国に続くのは、1874年のペルーだと思います。
次の画像はグリルに似ていますが、米国のものとは感じがちょっと違うもの。
米国のものと同縮尺なのですが、ちょっとよくわからないと思いますので、拡大したものを下に用意しました。
これなら、わかるでしょう。
用紙裏側全面に細かなボツボツ(斑点)が見えますね。
米国のものが、用紙の一部に大きなボツボツであったのと対照的。
これは、一見グリルに似ているのですが目的が違うのです。
こちらのボツボツは、スイスの小型風景切手(1936年発行)のもので、カタログで “Grilled Gum” と書かれているもの。
ここまで書くと察しの良い方なら「なるほど!」と、思われると思います。
そうです。
スイスのは「グリル」+「裏糊」。
つまり、裏糊の作用によってシートが丸まらないようにするためのボツボツなわけです。
そのため、軽くても全面に付ける必要があったわけですね。
一見したところ同じように見えるのですが、それぞれ施した目的が違うのです。
スイス用紙の件そうだったんですか。私はカタログ眺めても(読んではいない)腑落ちしなかったので、深入りしませんでした。他に苦手なのは、ポルトガル/セレスなどのgewoehnlichen /gestrichenとロシアなどのLozengesです。
ガスコンロの魚焼きや料理をイメージしやすいのですが、この場合は車の前方ライトに挟まれた細く格子になっている部分と同義ですね。
(タテグロといわれたグロリアや、ハコスカといわれたスカイラインのGT-10の初期型のグリルがかっこいいですね)
それはさておき、記事のとおり私はアメリカのクラシック切手で存在を知りました。
消印を削り取られて再使用されるのを防ぐために施された、と本で読んだ記憶が。
アメリカ切手ですと1870年シリーズの初期分にもあったような気がしますが、記憶違いでしょうか?