「昭和ご婚儀」の使用例

日本の記念切手収集の最難関である「昭和ご婚儀」。
未発行切手であるので、「そんなものは切手ではない」と考えた方が気が楽ではありますが、下の画像のような使用例があるので質が悪い。
まぁ、あくまでイレギュラーなものではあります。

この画像の出典は、金井スタンプ商会が行った『グルックナー氏日本切手コレクション 第2回オークション・セール』カタログからで、その開催は昭和42年6月25日。
35万円の参考値に対して、落札値は37万円でした。
同年の国家公務員1種の初任給が25,200円ですから、大したお値段だったと思います。

カタログのノートから消印データを紹介すると、抹消印は局名不鮮明であるものの日附は大正13年2月6日。
そして、到着印も局名不明ながら2月9日であるとなっています。

宛名の「ガロア」は、フランス国領事として長年日本にも滞在していましたが、この時期はソウルの領事館勤務になっており、そこに宛てられたもの。

このカバーの存在を日本で最初に報じたのは、昭和15年7月発行の『切手趣味』第22巻1号で、その時はカバーの表裏が大きな写真図版として掲載されました。
それが下の赤枠で囲った記事です。

裏面の差出人は「東京市白金猿町61 水野政直」となっています。
この水野政直と言うのは、内務官僚として歴史上に著名な水野錬太郎の長男であることに間違いはありません。
と言うのは、学習院大学東洋文化研究所に「水野錬太郎・政直旧蔵文庫」があることから知ることができます。

このカバーは、有力な内務官僚であった水野錬太郎が入手した未発行「昭和ご婚儀」切手を、旧知の仲であった日本切手収集家のガロアに宛てて送ったものであったと推測することができます。

ガロアの日本切手コレクションは、1950年にグルックナーに譲渡されているので、その時に厖大な日本切手コレクションの中の1マテリアルとして入っていたものなのでしょう。

「昭和ご婚儀」の使用例」への2件のフィードバック

  1. このような使用例が存在したとは、恐れ入ります。いま、どなたの元にあるのでしょう。

  2. 記憶の片隅に有るガロアのカバーが出てきましたね。震災前に南洋局へ送っていた分を返送させて関係者へ贈呈されたとされています。大部分は記念葉書に貼られて特印で消印されましたが、一部非合法(?)で持ち出された分を使用したのでしょう。南洋繋がりで南洋の第一人者萩原海一氏の元に納まったとの事でしたが、自分には到底縁のない品ですので興味も無く曖昧な記憶でしか有りません。同氏も無くなられたと聞いておりますので誰が継承されたのでしょうか。
    非合法と言えば今回のジャパンオークションに青色勅額のカバーが出品されています。後に販売方法には少々問題も有りますが消印が押された時期には正式に発売されていませんので扱いは疑問に思っています。かつお釣り切手も未発行切手かシールか意見も分かれているようです。曖昧な物の判断は難しいですね。

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