「トピカル切手展、どう思われますか?」
と友人に聞かれたので、
「ん、どうしたの?」
と聞き返したところ、その説明によると「トピカル切手展不要論」が出ているとか。
誰もが制限なしに見ることができる当ブログでは詳しくは書けませんが、そのような話しが出ているとだけ認識していただいて、以下をお読みください。
僕が子供の頃、1970年代ですが既に欧米ではテーマチクに移行していながら、日本では遅くまでトピカル収集という形が残されていました。
それが、遅ればせながらもテーマチクへ移行したのはJapexが1989年、全日展は1992年のこと。
皆さんもよくご存知のはずですが、トピカル収集とテーマチク収集では、一見似た者同士のような感じを受けますが、実は全く別物の収集法で、決して似ているわけではありません。
郵趣界ではトピカルからテーマチクへと移行してはいますが、それは収集の歴史の中で変化しながらも、その過程を経た結果として全く別物に仕上がってしまったと考えるのが、現実に合っていると思います。
テーマチクは、自分でストーリーを考え、そのストーリーに合った郵趣マテリアルを厖大な郵趣情報を把握した上で取捨選択する必要があり、それに費やすエネルギーには大変なものがあります。
しかし、その見返りとして得た適切に構成された作品は、スペシャルドラマを見るような感覚でオリジナルストーリーを示すことが可能な醍醐味にあると思います。
しかし、その作業は切手収集を始めたばかりの人にとって、普遍的に誰にでも可能なことでしょうか?
僕は、そこに疑問を持つのです。
僕は好きではない言葉なのですが、ここではあえて「初歩者」という言葉を使います。
初歩者にとって、ストーリーを考え、厖大な郵趣情報を処理しなければならない事に時間を費やすよりも、好きな図案の切手や消印などを単純に多く集めたい気持ちの方が大きいのではないでしょうか?
なぜなら、その好きな図案の切手、気に入った図案の切手が、収集に入る入口だったからで、これは正にトピカル的な集め方です。
僕は、伝統郵趣を収集の中心に置いていますが、切手収集や郵趣を初めて知った初心者には、収集入門として伝統郵趣や郵便史などよりも、トピカル収集が最も敷居が低く切手を楽しめると考えています。
トピカルの中には、凹版、グラビア、平版と言った印刷方式のバラエティもありますし、様々な消印も対象になります。
また、プルーフなどのアーカイブス的なマテリアルだってもちろんありますから、郵趣マテリアルのイロハを単純な収集方法で学ぶこともできます。
単純な収集方法と書いてしまうと、中には「幼稚な集め方」などと揚げ足を取る輩が出てきそうですが、この単純な収集こそが、切手収集の「キホンのキの字」であるはず。
このような視点から、僕はトピカル収集に今でも理解を示していますし、必要だと思っています。
そこで最初の話しに戻るのですが「トピカル切手展不要論」が出てくる背景に何があるのか?
これには、大きく次の2点があるようです。
先ず1点目。
国際展にはトピカル部門が無いこと。
それは確かにそうなのですが、全ての切手展が国際展を指向する必要があるのか?
「国内競争展=国際展の前座」と考える人が仮にいたとするならば、それは傲慢に過ぎず、郵趣の楽しみを全く理解していないと言っても過言ではないでしょう。
確かに、僕も以前は国内展に積極的に出品し、国際展にも出品はしていました。
ですが、それは郵趣の楽しみ方の極一部分であったし、それ以外の楽しみ方で遊んでもいたのです。
郵趣には、多岐にわたる遊び方があるのですから、全ての道が国際展に繋がっている必要はありませんし、日本独自のものがあっても良いのです。
その一つとしてのトピカル展は、郵趣の底辺拡大の仕掛けの一つとして意義があるものと思います。
そして2点目。
これは出品点数の問題でしょう。
確かに近年は低調気味。
ただし、ここで一つ疑問に思うのは、出品に向けての積極的な活動があったのかどうか?
残念ながら、『郵趣』に告知が掲載される程度しか僕は知りません。
JPSにはトピカル系の研究会が幾つもありますが、そこへ積極的な働きかけがあったのかと言うと、無かったと思います。
少なくとも、鉄道郵趣研究会にはありませんでした。
ましてや、初心者を含む一般向けには、どのような方策がとられていたのか?
トピカル切手展の今年の出品要項を見ると2〜5フレームで、初出品は1フレームでも可能ということですが、これを1〜3フレームとか、もっと突っ込んで半フレームでも可能とすれば、初心者だって思いっきり敷居が低くなるはず。
トピカル展は、日本独自のガラパゴス状態の切手展なのですから、独自のアイディアが色々と考えられると思います。
ここで結論なのですが、トピカル収集は決して前世紀の遺物ではないと思います。
要は、どのように活用し、生かすのか、そこの考え方の問題でしょう。
ただ一つ確実に言えることは「国際展にはリンクしないから意味が無い」という考え方があるとするならば、それは郵趣家自身が郵趣の多様性を否定し、わざわざ間口を狭くする、言い換えれば自分で自分の首を絞めていることに過ぎないのです。
おそらく、出品者の顔ぶれが固定化されつつあるのもあるのでしょうが、いわゆる新規開拓が十分かというと、そうではない。
集める楽しみを味わうには図案別収集はもっとも敷居が低いですし、また、切手を詳しく知らない人も興味のわきやすい展示になりやすいです。
このようなことをどなたが決めているのか分かりませんが、今のJpsには広報や普及に対する努力が不足しているのか、高齢化で人員がいないのか、いずれにせよ、初心者にたいするハードルをさげて、入りやすくする必要はあると思います。
ハーフフレームでの出品を可能とする、それは昔の全日展のジュニア部門では可能でした。それで佳作クラスの賞をもらったことがあります。いいアイデアで、賛成です!
いつも、ありがとうございます。
JPSは会員が撃滅しましたが、非会員の初心者が各グループにそこそこいらっしゃいます。
こうした郵趣家の入口に立った方達を取り込むことが、はじめの一歩だと思うのですが、その気は無さそうです。
JPSの最大の欠点は、全体を見渡して方向性を持つ人がいないことでしょうね。
1987全日展の出品目録と資料が有りましたので見てみました。出品点数はジュニア42点、成人73点、企画クラス(昭和)17点、合計132点。ジュニアの比率が高いですね。今はもうオワコン状態ですね… さて、出品区分ですが第4部門にトピカル・コレクションと表記されております。そして、その講評の中に「国際的にもテーマチックコレクションの盛り上がりが求められており、本年の審査は結果的に狭き門となった。来年こそ発想を変え、郵趣材料を駆使して物語りを展開したテーマチックにいどんでいただきたい」と結ばれております。「結果的に狭き門」とは意味不明的な文面ですが、この年を境にトピカル排除に邁進してしまった感がします。因みに講評者は三島良積先生です。
懐かしみながら出品解説目録を見ていますと加藤秀夫氏の特別出品リーフの中に何と「青島軍事切手」未、済3点が…いや~驚きました。また、企画出品者も児玉博昭氏、成田弘氏、大村公作氏、祖父江義信氏、伊藤純英氏等々、そうそうたるメンバーのお名前が並んでいます。今回の記事を見ないと見直す事なんてしなかったでしょうから、再発見の場を設けて頂き誠に有難うございました。今後も有益な記事を期待しております。
この年は4月に就職して地方に行き、5月に結婚したので、その間に挟まれた全日展はよく覚えています。
まだ半ドンだったので午後から上京して、翌日曜日に参観して夕方帰る参観でした。
僕は、やっぱり伊藤さんの「アフガニスタン」ですね。あの独特のライオン切手の面白さを初めて知った展示として心に残っています。