フランス・種まき1サンチーム

寿命が長かった種まきシリーズですが、その中でも末期に近い時期の発行となった1サンチーム。
1サンチームというのはフランス切手で最低額面ですが、種まきの1サンチームが1933年に発行されるまでは、なぜかタイプ・ブランが1900年からずっと使われ続けていました。

印刷は1933年2月20日から1936年5月15日まで行われています。
1段目左端は1934年4月の消印で、田型は1935年5月17日。
その下の10枚ブロックは、1936年4月7日のコアンダート(印刷年月日)が右下に付いている貴重な使用例ですが、これは印刷終了の1ヶ月弱ほど前の日付になります。
1サンチームは最低額面なので数は少ないですが、時々こうした大きな使用済ブロックを見ることがあります。
1段目右端の単片は、恐ろしく後期の使用例で1957年12月13日。
どっかの隅から出てきた、昔の切手を使ったのでしょうか??

下段の2枚だけ貼ってある切手ですが、上の切手とは色調が違うのがおわかりになりますでしょうか?
ギボンズのカラーキーでは、上段が Olive Bistre で、下段は Yellow Brown になります。
実はこの色調、もともとは刷色エラーだったのです。
1936年3月26と27日の印刷で、なぜか色を間違えてしまい本来は Olive Bistre とするべきところを、Yellow Brown にしてしまったというわけです。

当時は既に郵趣市場が成熟していたので、収集家や切手商の投機にあうことを嫌った郵政省が、高額取引にならないように、わざと刷色エラー切手と同じ色でじゃんじゃん刷った色がこの刷色です。

投機を回避するために刷りまくった切手としては、1962年の米国ハマーショルド追悼の切手がありますが、それよりも26年も前にフランス郵政は同じことを行っていたのです。

フランス郵政が刷りまくったのは1936年7月以降ですから、コアンダートの部分を見れば本物のエラー切手か、なんちゃってエラー切手なのかの区別は容易につきます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *