手彫切手と言うと、日本独自の技法による切手と思われてしまう事が、特に日本切手しか集めていらっしゃらない方に多くあります。
ところが、外国切手、それも日本の竜切手よりも遥かに古くからある製造技法なのです。
例えば、超有名切手であるモーリシャス初期の切手の幾つかのシリーズがそうですし、下の画像のニューサウスウエールズ初期の切手もその一つ。
左は1850年発行のファーストシリーズで「シドニービューズ」という愛称を持つもの。
右は1851年発行のセカンドシリーズです。
手彫切手と言えば銅板に手で彫刻したものですが、それには二つの方法があります。
一つは銅板上にワックスを塗って膜を作り、その上から彫刻刀でワックスを剥すように彫刻を行ってから、銅板が露出した部分を酸で腐食させ、最後に残ったワックスを除去して実用版とする方法で、日本の手彫切手がこの方法になります。
もう一つの方法は、銅版に直接彫っていく方法で、モーリシャス初期のシリーズや、上の画像のニューサウスウエールズの2つのシリーズがこの方法によります。
日本、モーリシャス、ニューサウスウエールズともに手で彫った原版がそのまま実用版に使われていると言う点において、「手彫切手」と収集家は読んでいるわけです。
両方ともマージンの広い良い切手ですね。
武田 さん
ご覧くださいまして、ありがとうございます。