『図解切手収集百科事典』

本書は、僕と同世代以上の方なら多くの収集家が読んだと思います。
それほどまでに、著名であり、また切手収集の基本文献として定番でもありました。
1973年刊行ですが、箱の帯にオレンジ色と黄緑色があり、黄緑の方がだいぶ少ないようです。
そして黄緑色の方は、巻きカバーの裏側にも各種の切手図版が印刷されています。
両者合わせて、どれだけ印刷したのか知りたいところなのですが・・・。

僕が本書を手にしたのは、1973年の再版の刊行と同時。
その頃よく通っていた、ジャンボ藤沢に出店していた日吉スタンプを通じて予約したものです。

小学生の自分にとっては内容よりも、漢字とか言葉の難しさの方が壁でしたね。
それでも、それまでに読んでいた入門書とは全く違う内容に図版を見ながら圧倒されたものです。
もっとも、大学生になった頃に、本書で採録されているモーリシャス・ポストオフィス切手の解説が、実際とは異なる俗説であることを知った時にはビックリしましたが・・・。

変わった(?)ジュニア収集家であった自分にとって、個々の内容よりも魅力的だったのはカラー図版に採用された各国のクラシック切手の数々。
今とは違い、まだまだ白黒図版ばかりだった当時の出版状況の中にあって、これほど多くのクラシック切手をカラー図版で見たのは初めてのことで、特にカラー図版番号25に1ページ掲載されている米国クラシック切手の消印の数々を見た時の衝撃は相当なもの。

本書は、その構成から見ると解説書や入門書の類いに分類されるものではありますが、一読すれば書名の『百科事典』であることに十分納得がいくものと思います。
そして、内容やそれを説明する図版の数々を全世界(日本の飛脚まで含まれている!)に求め、それらを示しながら切手収集を語るという手法。
更には、AB判319ページという類書においては、現在でも類を見ない大冊となっています。

本書の原著はチェコ語版で、その他に英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語版があり、日本を入れると6ヶ国語版に訳され出版されていますが、これだけ多言語に出版された郵趣書も珍しいのではないかと思います。

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