二十数年前にロンドンで8ポンドで買い求めた、切手収集の入門書。
レターサイズの判型にページ数は76と、こぢんまりとはしていますが、逆に中身は濃いのです。
大抵の啓蒙書は、切手収集の概要や、切手の種類、集め方などを一通り述べた後にアルバム解説へと進むものですが、本書では最初に「切手を集めることはどのようなことか」が2ページ、次いで「切手の入手方法」について4ページ記した後に、いきなり「アルバム」や「リーフ作り」「付属品」「カタログ」の章へと移っていきます。
つまり、普通の解説書なら先に配される様々な切手の種類や、国別、テーマ別収集、印刷、偽物、郵便印、郵便の歴史などは、後ろに追いやられてしまっているのです。
このような章立ての入門書を手にしたのは、本書が初めてでした。
こうした章立てを見ることにより「切手収集の基本はアルバム整理にある」とする本書の柱を読み取ることができますし、各章の解説にもリーフを多用していることからも、同様のことがわかります。
これは、切手収集の入門書としては当然の姿勢と思われますが、今までこうした入門書が見られなかったのが、不思議といえば不思議。
「切手収集とはこのようなもの』という完成形を先に見せた方が、スッと入っていけると思います。
本書はビジュアル的にも優れており、ホントに感心する編集になっています。
こういうのを「プロの仕事」というのでしょうか。
日本では、残念ながらとてもとても作れない入門書であることに間違いはありません。