デグロン君カバーと新橋駅構内ポスト

在日フランス横浜局のカバー、中でもデグロン君カバーに新橋駅の停車場印が押されたものが多いことは、多少まとまった数をご覧になった方なら、お気づきのことと思います。
例えば下の画像のカバーは、昨年開催されたシーゲルによる在日フランス局の売り立てカタログからの1通ですが、左下に朱色で鮮明な「新橋」の停車場印が見られます。

即ちこれらの使用例は、東京在住のお雇い外国人が日本の郵便網を使い、フランス横浜局経由で海外へ手紙を発送したことを示しているものであり、特に鉄道によって直接的に横浜と繋がっている新橋駅で投函されている点に、面白みを感じます。

下の画像は、3代目歌川広重による「東京汐留鉄道館蒸気車待合之図」という鉄道錦絵で、新橋駅コンコースの様子を玄関からホームを見た構図として描いたもの。
画面左上に記された発車時刻と運賃表示、また人々の服装(冬服)から、1873年初頭に描かれたものであることがわかります。
そして、よく見てもらいたいのが中央やや右に赤丸で囲った部分。

その部分を拡大すると、こうなります。
なんと「郵便箱」と書かれています!
ちなみに郵便箱の左の人物は、新聞売りのオッチャンで郵便とは関係ありません。
たぶん、イギリス人ブラックさんが許可を得た構内営業の売り子さん。

この錦絵に描かれた郵便箱こそ、デグロン君カバーが投函された新橋駅構内ポストなのです。
手紙を書いたお雇い外国人本人か使用人かはわかりませんが、デグロン君印を押した封筒を、このポストに投函。
そして、汽車の発車時刻近くになると開箱、停車場印が押され、鉄道により横浜へ運ばれたわけです。

実際の使用例と絵画資料が結びついたビジュアルな例として、リアリティを感じます。

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