金井スタンプ・日本南方占領地切手(英領地区)

昨日、南方占領地のリーフを紹介したので、今日はその関連ということで金井スタンプ商会が1972年12月と翌73年1月の2回に分けて行った『日本南方占領地切手(英領地区)』のオークションカタログをご紹介。

当時の郵趣状況を記すと、日本国内で飛び抜けて大きな占領地コレクションを持っていたのは吉田利一、古内康一のお二人であり、70年代後半から80年代にかけて大家となられた方々は、そのコレクションを拡大しつつある時期でした。

オークションの主催者である金井スタンプは、手彫切手の里帰りで有名ですが、実は南方占領地切手の里帰り(この表現については論議のあるところ)にも大きな実績があり、以前から同オークションで何回も売り立てが行われていました。
そのような状況の中で、過去最大規模として組まれたのが、今回のオークションになります。
カタログは図版編と本文編の二分冊。

単純にロット総数を示せば2400余りであり、英領占領地区のオークションとしては世界を眺めても最大規模のものでしたが、単一のコレクションではなく四つのコレクションから構成されるものでした。
ただし、残念なことにその内訳は明記されていないので、今となっては不明であり郵趣史的には残念な部分でもあります。

このオークションのロットB 9には、ビルマ農耕切手の黒色試刷で右下耳紙に「Mr. Aoi. 青井様」とサインが入ったシートが出品されています。
ここで出てくる「青井様」と言うのは、切手製造の責任者であった青井武雄氏を指します。
この時は参考値20万円で無入札に終わっていますが、終了後に同価格のプライベート取引で収集家の手に渡り、更に後年になり土屋コレクションに収まっています。
南方占領地切手の資料として、極めて貴重なマテリアルと言えます。

マラッカの加捺物には流通量が少なかった当時としては良いものが多く、そのため高値安定のオークションでしたが、カタログを見ているとビルマの孔雀加捺に目を見張るマテリアルが多く、今でも一つの記録として、また勉強になるオークションカタログとしても貴重なものです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。必須項目には印がついています *