野上弥生子の『欧米の旅』を読んでいます。(岩波文庫で3分冊、1200ページほど)
昭和13年秋に日本を発ち、ヨーロッパで始まった第2次世界大戦の影響を受け、急遽米国経由で昭和14年秋に帰国するまでの日記。
世界大戦勃発時のヨーロッパの民衆の様子を知るには、興味深い内容です。
行きは日本郵船の靖国丸でヨーロッパへ向かうのですが、途中の寄港地の様子もつぶさに観察し書き残しています。
ちょうどアデンの所に行き着いた時に「そう言えば、以前に整理したアデンの切手が・・・」と思って、ゴソゴソ出して来たアルバムからの1リーフが下の画像。
今では、物騒な国イエメンの一部になってしまったアデン。
そこは古くから貿易の中心地として栄え、イギリスの戦略的関心から1839年に英国東インド会社に占領され、インド航路の要衝として発展していきます。
そして、1937年にはイギリスの直轄植民地となったことから、アデン独自の切手が発行されます。
リーフの1から3段目が、その最初の切手。
デ・ラ・ルー社の堂々とした凹版で、アラビア海特有のダウ船を描いたもの。
それ以前にはインド切手が持ち込まれており、その辺の事についてはロブソンローの百科事典に詳しくまとめられていますので、そちらをご覧ください。