切手アルバムには、世界中にいろいろなメーカーがあり、そしてラインナップがあります。
その切手収集用アルバムの頂点に君臨しているのが、 “Frank Godden” であることに間違いはないでしょう。
今でも、我々は260×210ミリサイズのリーフを「ゴッドン・サイズ」と呼んでいますし、私の切手展出品用リーフもこのサイズ。
そんな “Frank Godden” という名に初めて接したのは、『全日本郵趣』誌に伊藤由巳氏が「ゴッドンのアルバム頁から」というタイトルの連載をしていた大学生の時。
最初は「ゴッドンってなに?」だったのですが、調べて納得。
大学生には全く無縁の超高級アルバムでしたが、その写真を見て「世の中に、こんな重厚なアルバムがあるのか・・・」と。
創業者の Frank Godden は、元々はギボンズの社員でしたが、1915年に退社しギボンズと同じストランド街で切手商を始めています。
彼はギボンズでも有能な社員でしたが、独立後も順調な営業を続けていたらしく、1937年にはより大きな新社屋を新築するまでに成長しています。
また、戦前の国際切手展では多くのコミッショナーの仕事を引き受けており、国際的な活動にも熱心に取組んでいたようで、こうした活動が内外での仕事において、ある程度の結果をもたらしていたものと思われます。
Frank Godden は、アルバムの製作・販売を第1次世界大戦が終わりを告げた頃から行っており、その最上位品であるデラックス・アルバムは、1936年にニューヨークで開催された国際切手展において金賞を受賞しています。
そして、いつの頃からか Frank Godden は、息子の Frank Ambrose Godden を経営に加え、” Godden’s Gazette” という郵趣雑誌の出版も行っています。
戦後、息子の代に Frank Godden は、同じロンドンの David Field 社に買収され切手部門は消滅するのですが、最高級切手アルバムとして不動の地位を郵趣界で獲得していた切手アルバムは、手作りの手法とともにブランドとして残りました。
Frank Godden は、郵趣界では特別なブランド名として今に残りますが、2010年にその商標権をギボンズ社が買い取っています。
ギボンズ社を退職した元社員が作ったブランドを、回り回ってギボンズ社が所有するというのも、縁の巡り合わせなのでしょう。
“Frank Godden” のキャッチフレーズは、「一生使えるアルバム」。